人気ブログランキング | 話題のタグを見る

一所不住



戻れねど戻ってみたき青二才

先月、台風21号の強風に流されたタンカーが関西空港連絡橋に衝突した事故があったばかり、今度は22日、周防大島へ渡る大島大橋へ貨物船が衝突して送水管を破壊した、とニュースが伝えていた。通行止めとなっていた橋は、昨日から片側交互通行で2t以下の車は通行可能になったようだが、送水管の復旧には時間がかかるため当分は断水が続きそうだ。

周防大島といえば8月15日、3日前から行方不明になっていた2歳の男の子を、大分県日出町の尾畠春夫さんが発見したことを思い出す。警察と消防が延べ550人がかりで捜しても見つけられなかったのを、わずか30分で見つけたことにも驚いた。
一躍時の人となった尾畠さんは78歳で元魚屋さん。65歳で店を閉め、被災地でのボランティア活動をしているという。

趣味が登山で、60歳から始めた登山道の整備などボランティア活動には年季が入っている。小学5年生の時、母親と死別し、農家へ奉公に出たのが原点だと話す。これまでの人生で多くの人の世話になった恩返しをしているのだと。「かけた情けは水に流せ、受けた恩は石に刻め」と、仏教経典「懸情流水 受恩刻石」を自らに課す。

こんな人を知ってしまうと、我が身の至らなさが恥ずかしくなってくる。散々人様に世話になっておきながら何も恩返しができないまま人生を終えるのか、と思うとやるせない。
若いころ、「誰かの世話になったら、その分を他の誰かに返していく」を実践しようと肝に銘じていたつもりだったが、さてどこまでできたのか。おそらく世話になりっぱなしで、ほとんど返せていない気がする。お粗末で申し訳ない。

高校を卒業して東京へ出た18歳、新聞奨学生として販売店に住み込み新聞配達を始めた2畳ほどの個室が大学生活の出発だった。周りは知らない人ばかりで、知らない世界が無限に広がっているようで新鮮だった。

叶わぬものの戻れるのであれば、あの未知への第一歩を踏み出した地点へ戻ってみたい。一緒にご飯を食べ風呂屋へ通った販売店の家族や従業員の方々、奨学生の先輩らにもう一度会ってみたい(途中で逃げ出したので、合わせる顔がないんやけど)。
結局何者にもなれなかったが、それなりに面白い人生を過ごせた。結果は変わらなくても、また違う道を通ってここへ辿り着いたとしたら、やっぱり楽しい人生になったやろと思う。

# by rurou-no | 2018-10-25 10:42

節知るや冷え性の足鰯雲

ここにきて、足元の冷えが瘦身を苛めるようになってきた。
体感が「涼しい」から「寒い」へ変化し、空は高く秋の雲がたなびいて、夕焼けは一層鮮やかな色彩を帯びてきた。
どんなに異常気象が続いても季節は正直なもので、時季がくれば秋の役割を果たそうと、移ろいを止めない。

台風25号による被害は「秋の長雨」が去った後、顕著に現れてきた。いつも車で通り抜けるだけで気が付かなかったが、屋根や壁が飛ばされた家が思いのほか多く、小さな山崩れがあちこちで起こっていた。
本土側から島を見ると山が黄土色に変色しているのは、決して紅葉などではない。これは強風と塩害によるものらしい。わが家の庭木もやられたのと同様に、山の木々は見るも無残な姿に変容している。

インドネシア・スラウェシ島の地震は、公式発表で死者2073人、行方不明者680人とされているものの、まだ5000人の行方不明者がいるとの情報もあるそうだ。
地震と津波の怖ろしさは、日本でも鮮烈な記憶が新しい。そして、また次の惨禍が起こる可能性が大きいのだ。

大いなる自然の前で、厄災に脅えながらも単調な生活を繰り返すだけの、小さな存在であることを再認識する。決めたわけでもない時間割に支配されているみたいに、毎日同じ時間に同じことをして一日をやり過ごす。先の見通しもない、今の暮らしがいつまでできるのやら。とりあえず、今日を生きる。それだけだ。

小杉さんが亡くなった。13日付新聞の訃報欄【小杉武久さん(こすぎ・たけひさ=音楽家)12日、食道がんで死去、80歳。葬儀は近親者で営む。東京芸大在学中に即興演奏グループを結成し、60年代、米ニューヨークの前衛芸術家集団「フルクサス」によって作品が紹介される。77年から米のマース・カニングハム舞踊団の専属音楽家を務めた】

彼の即興演奏を何度か身近で聴いた至福の時間は、何物にも代えがたい宝物であった。人柄も素晴らしく、無知な若造にも優しく接してくれた。
音楽の幅広さを知るよすがとなった音は、まだ仕事をしていた耳がしっかり受け止め、からだの中に記憶している。

# by rurou-no | 2018-10-18 11:04

奪われた島の宝を取り戻せ

30日に投開票した翁長知事急逝による沖縄県知事選は、「オール沖縄」の玉城デニー氏が、日本の政府が総力を挙げて支援した候補を破って当選した。沖縄県民の矜持を示した結果に拍手を送りたい。

経済支援をちらつかせて県民に分断を持ち込み、米軍の植民地としての位置付けを強制する日本政府の姿勢は許されるものではない。
とうに返還されているはずの普天間飛行場の危険性を辺野古基地の問題とすり替えて、辺野古の海の埋め立てを急ぐ理由にするのは詭弁である。
「唯一の選択肢」でなく、選択肢は他にもあるのだ。思考停止もいい加減にしろ!

首相のアメリカへの卑屈さと、沖縄県民への強圧的態度は露骨で見苦しい。
県民の意思ははっきりしている。政府はこれまでの姿勢を反省すべきだ。

「沖縄の経済は基地で成り立っている」というのも真っ赤な嘘で、神話が独り歩きしているに過ぎない。基地がなければ、もっと経済が潤っていただろうことは容易に想像できる。金をばら撒くのではなく、基地を無くしていくことこそが経済発展につながると知っている人が、玉城氏に投票したのだと思う。

同じ30日、台風24号が田辺市付近に上陸した。潮岬で最大瞬間風速43㍍を記録した。
停電は14時間余。実家の方は24時間以上の停電が続いたそうだ。
猛烈な暴風雨の爪痕は街を車で走っているだけでも、屋根や壁が剥がれた家々やシャッターや看板が壊れた店などが目につく。
わが家も駐車場の屋根のアクリル板(約70㎝×3m)が飛ばされた。

実家へ向かう県道は大きな木が倒れ道路を塞いでいたり、電線へ倒れかかったりしていた。実家の裏山も崩れてきている。
近年では最強の台風だった。台風一過、電気工事業者や修理業者が忙しい。
週末には25号が、って、週末ごとに天気が荒れているではないか。

28日、インドネシア中部スラウェシ島でM7.5の地震が発生し、津波は最大6㍍の高さに達したとみられている。800人を超える死者が出ているそうだ。
インドネシアも地震が多い国だ。他人事ではない。

# by rurou-no | 2018-10-04 10:28

天に墨十五夜の闇虫歌う

24日、「中秋の名月」は灰色に墨を刷いたような曇天で、前夜14番目の月で魅了してくれた美姿は隠れたままだった。
月明りの夜歩きという風情は次の望月までお預け。街灯のある住宅街を抜けた先に「木のトンネル」と呼んでいる森の中を通る道が続いており、ここにも街灯があるのだが消えたまま放置されていて夜の森の暗闇を堪能できる。無事に夜の森を通過できたら、海沿いの「周遊道路」に出る。

いきなり波の音が飛び込んできた。そして波の音と共鳴するかのように、ふだん禿頭爺の耳では聞き取れない虫の声が聞こえてきた。それに呼応して次から次へと虫が鳴き始め、周囲を虫の大合唱に包まれた。さまざまな種の鳴き声を特定することは叶わないが、街灯もなく月明りも届かない暗い中、海鳴りと虫の音の競演は思いがけない贈り物となった。月を愛でる代わりに、役立たずの耳へ御馳走でもてなしていただいた。夜は歩いてみるものだ。

連休中はキャンプのテントで賑わった大芝生も、ひっそりとして闇に沈んでいる。本来ならこの夜は月光を受けて広大な芝生が浮かび、その向こうには月の光を照り返す海が遠くまで見通せたはずだったが、目の前は闇が広がるばかりで、日常を取り戻した安堵感さえ漂う。これで満天の星さえあれば、いつもどおりだったんやけど。

何をしているわけでもないのに、せわしなく日が過ぎていく。ここへ記録しておこうと思っていたことも忘れてしまい、1週間の間に何があったのかさえ分からなくなっている。まあ、行き当たりばったりの備忘録のようなものではあるが、書く前に忘れてしまうようでは、わけない。

とりあえず昨日の出来事。プロ野球、広島東洋カープがリーグ3連覇を達成した。本拠地での優勝決定は27年ぶりだという。めでたし、めでたし。

今朝の気温は、室内で23.1度。急に秋がやってきた。雨が降って昼間も気温が上がらず寒い。冷え性の身には辛い日々を思うだけで、からだが竦む。


# by rurou-no | 2018-09-27 10:56

而(しこう)して壊れる連鎖人ありて

北海道の地震から1週間が経った。
目に入る山々が尾根筋にわずかな木々を残すだけで、その山肌を露わにしていた空撮の映像には目を疑った。例がないほどの大規模な土砂崩れは、火山灰や軽石で出来た地層によるものらしい。

山裾から一面緑色の田んぼが広がっている。並行して伸びる道路が土砂で寸断されている。山裾には集落が形成され人の営みがあった。「山津波」である。
新聞記事には東西15㌔、南北12㌔、崩壊した場所は100ヵ所以上と出ていた。
41人の方が亡くなり、今もなお1600人が避難生活を送っているという。

一時全道が停電し、液状化現象で道路や住宅が陥没した。断水は5市町村で続いているそうだ。巨大な発電所に依存する方式は、リスク管理上問題を抱えているのはわかっていたこと。政府の無策がこういう時に露わになる。
小規模発電を分散して立地するという簡単なことが出来ていない。さらに、再生可能エネルギーへシフトしていく当たり前のことも。

台風で冠水した関西空港は機能停止が長引き、さまざまなところに影響を及ぼしている。これも、海上埋め立て計画の時点から指摘されていたではないか。
人間の作り出したものなんて、脆弱なものに過ぎないと思い知るべきだ。と、かくいう禿頭爺は、何もできんあかんたれやけど。

ダニの痒みは、だんだん収まりつつある。庭でやられたと思っていたが、ツメダニは室内に生息する種だから、たぶん何年もゴミ置き場と化していた実家の車庫を掃除したとき、食いつかれたのかもしれない。えらい目に遭った。

気分を変えて明るい話題を。8日(日本時間9日)、テニスの全米オープン女子シングルス、大坂なおみ選手が決勝でセリーナ・ウィリアムズを下して初優勝した。弱冠20歳の快挙である。
11日、森保監督の初陣となったサッカー日本代表はコスタリカ代表と対戦し、3対0で勝利した。若手メンバー中心で挑んで、面白いサッカーを見せてくれた。

# by rurou-no | 2018-09-13 10:32


一瞬を、永遠に

by rurou-no
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
以前の記事
2019年 01月
2018年 12月
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2007年 09月
2007年 08月
2007年 07月
2007年 06月
2007年 05月
2007年 04月
2007年 03月
2007年 02月
2007年 01月
2006年 12月
2006年 11月
2006年 10月
2006年 09月
カテゴリ
メモ帳
検索
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧