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一所不住



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凄まじき音に抗い夢の中

いつだったか、聴覚障碍者の症状の一つとして、頭の上を飛行機が飛んでいる漫画を見たことがあった。その絵を覚えているのは、まさに今の自分そのものであったから。
健聴者には理解し難いと思うが、聴覚障害にも症状は人によってさまざまであり、難聴だからといって聞こえないわけではない。

禿頭爺の場合は、頭の中で常に騒音ノイズがしている状態で、人の声が届かないのだ。
テレビの砂嵐のノイズが始終している、頭の中に蝉を飼っている、機械音がやかましい工場の中にいる、工事現場の騒音が四六時中している等々、言葉で説明は難しい。
一番近いのが件の絵だった。頭のすぐ上すれすれにジェット機が飛んでいる、又は頭の中でジェット機が飛び回っている。

人の声は言葉の輪郭を成さず、別の騒音となって襲ってくる。ゼリー状の物がからだにまとわりついてくるようで息苦しくなってくる。気持ちが悪くて倒れそうになる時もあるので、できるだけ人が集まるところを避けてはいるが、そうとばかり言ってられないから色々と大変な思いもする。
とりあえず1対1で向かい合って、大きな声ではっきりと話してもらえば会話はできる。連れ合いとの会話でも何度も聞き直し、時に声を荒げることがある。

耳に入ってくる音が小さくて聞こえないと誤解されがちだが、人の声は聞こえても輪郭がぼやけてわからないのだ。視力の弱い人と同じだと思う。
たとえば何かが当たる音は必要以上に突き刺さってきて、ちょっとした音でも驚いて可笑しくなることがある。

本日の表題について。頭の中のジェット機がうるさく眠れないことがしばしばで、毎夜2~3時間は騒音に耐えられず目を覚ます。そんな日々でも起床前1~2時間はよく眠れて、夢をみることが多い。
今朝はまんじりともせず朝を迎えたが、その前の日は森の中を延々と歩いていた。畑に出て畑の中を歩いていると蜘蛛の巣がからだに絡みついて困った。そしてやっと民家のある場所へ出たところで、目が覚めた。

一昨日、自衛隊ヘリの墜落事故が発生し、昨日は戦闘機が火災を起こした。このあたりでもドクターヘリや、海に落ちた釣り人を捜すヘリがしょっちゅう飛んでいて、ホバリングの音がすごい。
集落を米軍のヘリパットに囲まれた東村高江の人たちのことを思う。11日に高江で墜落事故を起こした米軍は、事故原因の説明もなく昨日同型ヘリの飛行訓練を再開したという。米軍の前で尻尾を振ることしか知らない日本政府とはいったいなんや。

by rurou-no | 2017-10-19 11:04

てんでにとわかっていても君探す

東北の大地震をきっかけに、「てんでんこ」ということばがキーワードとして広まるようになった。災害のときは、めいめいが自分の身を守るために素早い行動を促す意味で使われる。この辺りでいう「てんで」とほぼ同じだと理解している。

朝日新聞の連載企画記事「てんでんこ」は、あの地震のとき、地震のあと、そこで何があったのか、その後どう行動したのか、何がどう変わったのか等々、住民に寄り添った記事は注目に値する。中でも、すこし前に掲載された「音楽の力」が心を打った。

音楽は、隙間風に震えて風邪をひきそうになった心の隙間を埋め、冷えて弱った心を温める蒲団の役割も果たしてくれる。それまで聴いてきた音楽がその人の個人史と重なり、また新しく聴いた音楽は、新たに書き加えられる。人びとの心が荒んでいるときほど音楽は力を発揮するし、趣味嗜好を超えたところで人の心を救う力を秘めている。

前回触れた映画でも、印象に残ったのは映画そのものよりも音楽の方だった。ミュージシャン志望の青年が雑貨店の前で吹くハーモニカのメロディが胸に染み入ってきた。その音楽が物語の核の一つとなるのだが、女性歌手が歌い出すと禿頭爺は太鼓の革になって感情を乱打された(ちょうど祭りの時期、獅子舞が荒獅子を舞うときの太鼓や)。

さらに、彼女のダンスにも魅せられた。確かな表現力に支えられたダンスだったからこそ、シルエットでもいいから身体の線の動きをもっと見たかった(監督は風になびくドレスを見せたかったのだろうが)。

あれっ、音楽から離れてしまった。要は表現されたものこそが人の感情を揺さぶり、心の栄養になるのだということ。からだの栄養となる食べ物と同じで、人間にとって必要不可欠のものなのだ。それは例えば絵でもいいし、文章でもいい。

月に1回だけ新聞で読める、石牟礼道子さんの『魂の秘境から』は、なんて美しい文章なんや、と心が洗われる思いで読んでいる。一部抜き書きさせてもらうと、「海が汚染されるということは、環境問題にとどまるものではない。それは太古からの命が連なるところ、数限りない生類と同化したご先祖さまの魂のよりどころが破壊されるということであり、わたしたちの魂が還りゆくところを失うということである。」

こうしたものに包まれて歳を重ねてきた。

by rurou-no | 2017-10-12 10:11

寝首搔く魑魅魍魎が跋扈して

近ごろテレビのニュースを見るのが気持ち悪い。悪事の言い逃れが出来なくなった首相が自分の困難を「国難」と言い換えて、憲法に違反する国会冒頭での解散を強行した。選挙の告示まで空白の2週間にあたり、慌ただしく動き回る魑魅魍魎がニュースで頻繁に報道されている。各党の党首が画面に映るたび、気持ち悪くて顔を背けるかテレビを消すのが習いとなった。

野党第一党が解体され新党へ合流したが、ここは海外から客観的に見れば「極右ポピュリズム政党」だ。大阪の差別排外主義政党と同じや、と思ってたら案の定、手を組んだ。
おいおい、中道リベラルはどうすんねん、戦前の翼賛体制になってしまうのか、と危機感を抱いていたところ、なんとか受け皿となる政党も現れた。

今や、戦争を是とするのか、非とするのか分岐点に立たされてしまった。平和ボケしたバカどもがゲーム感覚で戦争を始めようとする。そこには戦争とはどういうものか、想像力が欠落しているのだ。「正しい戦争」なんてあろうはずはないし、始まってしまえば醜い殺し合いが悪化するのを止められなくなる。

単細胞脳の連中が北朝鮮の危機を煽ろうと躍起になっているが、冷静に考えてみれば戦前の日本とよく似た体制である。ちゃんと戦争の総括をしていれば、どう対応すればいいのか処方箋はできていたはず。愚かな戦争を始めて300万同胞の命を奪い、国土を荒廃させたことについて反省しないまま曖昧に済ませているから、また戦争をしたがるバカが大きな顔をして恥ずかしげもなく出てくるのだ。

先週末、久しぶりに映画へ出かけた。前に(2012年6月)読んだ東野圭吾の小説で、雑貨店のシャッターにある郵便受けを通して手紙が過去と現代を繋ぐ、という設定が面白かったのを覚えていた『ナミヤ雑貨店の奇蹟』が映画化された。山下達郎作詞・作曲、門脇麦が歌う「REBORN」が秀逸だった。

昨夜は十五夜、今夜は十六夜、そして明日は満月の立待月。暦のずれもそれはそれで、よしとしよう。

by rurou-no | 2017-10-05 10:35

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