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一所不住



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力水キクからハギへ花咲かせ

20日「大寒」、暦のとおりこの冬一番を毎日更新する寒さが続いている。
気温は今日が底か明日が底かと気を揉む1週間を過ごし、どうやら今朝やっと底を打って暖かくなりそうな気配を感じる。

22日に千秋楽を迎えた大相撲初場所は、大関稀勢の里が14勝1敗で初優勝した。そして昨日25日、横綱昇進が決まった。たった一度の優勝で横綱昇進について賛否は分かれるだろうが、去年年間最多勝となる安定した成績は評価されて然るべきだと思う。1年を通して誰よりも強かったのだ。

禿頭爺は①下位に取りこぼしをしない②横綱を倒す③全勝優勝をする、の3点を満たせば横綱にしてもいいのでは、と考えていた。優勝するのは既定のことで、それほど強さは際立っていた(正直なところ先場所までの精神面の弱さは、横綱になれないと思っていたが、今場所は落ち着いた取組みを15日間通した)。大関琴奨菊に負けた1敗は許容範囲となろう、下駄を履かせたい。

表題は千秋楽の土俵から。横綱白鵬との一番に臨む稀勢の里へ力水をつけたのは、来場所は関脇へ陥落が決まった琴奨菊。1年前優勝賜杯を手にしたキクは下へ落ち、水を受けるハギは優勝と綱を手に入れた。勝負の世界の厳しさを象徴する場面として印象的だった。

20日、トランプが本当にアメリカ大統領となった。調査では「真実は4%」だというトランプ語、「なぜすぐバレるウソをつくのか?」と問われた彼のスタッフは、「これはもう一つの真実です」と応えていた。堂々とでっち上げを認めている。
4%の真実、96%の「もう一つの真実」とは、「新しい判断」のどこやらの首相と同類やな。ことばが頭を通過せず、口先だけ何やらでんでん言っている。

「ポスト真実」という言葉さえ出来た。客観的事実よりも、感情や思い込みによる作り話の方が、受け入れられ影響力を持つのだと。こんなんあかんで。
泉鏡花『歌行燈・高野聖』(再読)。

by rurou-no | 2017-01-26 10:31

金星のをかし凍れり宵の街

列島は強烈な寒気に襲われて、吹雪や記録的な積雪などニュースが伝えている。
この常春の地でも15日には、めったに見られぬ雪が舞い冷たい風が吹き荒れた。
朝の部屋の温度計は6度を示し、冷えに弱いからだは不調の度を増す。

炬燵にもぐり背中を丸めて、或いは横たえたからだの中を北風がピープー吹き抜けていくようで、って、それは懐具合がピープー吹かれているだけやないか、とあが(我)にツッコミを入れながらウンウンうなっている姿は、みっともなくも情けないジジイだ。

明日(20日)は「大寒」。世界で一番の権力者たるアメリカ大統領に、おぞましくも差別分断排外主義者であるトランプが就任する。世界中が「大寒」になる。
先住民を追い出した土地に移民が築き上げた、アメリカという大国の、失墜と崩壊の始まりとなるのは間違いない。その影響は一国に留まらないから困ったことになった。

今後どのような事態が起こるか、歴史に学べばある程度の想定は可能だろう。
明治の日本が手本とした、イギリスはEU離脱を決めた。昭和の日本が戦争を仕掛けて、負けた後はその従属国の地位に甘んじるしかなかった、宗主国アメリカはこの体たらくだ。さあ、世界は、地球はどないなるのか。

EU内でも足元がぐらついているし、日本をはじめとするアジアの国々もおかしな具合になっている。どこもかしこも、深く物事を考えようとしない恥知らずばかりが、権力を思うままにしている。
目先の自分だけの強欲に絡め取られた輩が蔓延っているのは、人類が劣化して破滅へ向かって歩調を速めている、としか思えない。

こんな不景気なことばかり書くつもりやなかったけど、今日までと明日からと、歴史の線がまた1本引かれるやろ。
福永武彦『告別』、内田百閒『丘の橋』。再読本2冊。

by rurou-no | 2017-01-19 10:55

夜の道身を切る風や心地よき

昨夜歩いているとき、ふっと浮かんだ十七文字を忘れないうちにと、今日の表題とした。
いよいよ冬本番となり、夜歩きも気合を入れてからでないと出かけられない。
14番目の月に照らされほの明るい夜の道は、「彼は誰(かはたれ)」時に似た趣があって踏み出す足を励ましてくれる。

もっとも ♪♪黒潮おどる熊野灘 輝きわたる空のもと~(小学校校歌)と歌ったくらい、「寒い」と口に出したら他の地方の人に叱られるほど、冬でも暖かい南の地だ。
この季節でも、歩いているうちに汗ばんできたりするくらいなのだが、昨夜は肌を刺し身を切るような風がからだを芯まで冷やして、速足で歩こうがとても太刀打ち出来なかった。

こんな夜もあろうと、月明りで凍り付いたかにさえ見える薄闇の街を、月を愛でながら歩を進めるのは、風情があってオツなものである。

歩く途中必ず通る「望楼の芝」には、住んでいるとしか思えないテントが常設されているし(寒ないやろか、風邪ひかんやろかと他人事ながら心配になるが、今のアウトドア用品は昔と違って機能が充実しているみたいやし)、昼間はサーファーが真冬でも海に浸かっている。
ダイバーたちは引きも切らずやってくるし、釣り客は群れをなしている。
夏は涼しく冬暖かいええとこや。住むには大変やけど、遊ぶには申し分ない。

日曜日、連れ合いが本屋へ行こうと誘ってくれたので車で50分走って(田舎は大変や)やっとある本屋へ行ったが、お目当ての本はなく(田舎はかなん)、面白そうな本との出会いもなく、肩透かしをくらってすごすご帰ってきた。
今週読んだのは、藤枝静男『或る年の冬 或る年の夏』(再読)と、桜木紫乃『風葬』(久しぶりに購入した文庫本)。

by rurou-no | 2017-01-12 10:47

手のひらをじっと見ているつましさよ

年の初めに当り石川啄木先生に敬意を表して、って何の関係もなく「て」からの連想でひょいと浮かんだ
   はたらけど はたらけど猶わが生活楽にならざり ぢっと手を見る
の歌を踏まえて表題にしてみた。

今年は体調が好ましくなかったのもあり外出は控え目にして、ほとんどを炬燵とテレビの「昭和」な時間で過ごした正月三が日だった。さすがに炬燵の上に蜜柑はなかったものの、珍しくつけっぱなしにしていたテレビと、長時間向き合うことになった。

実業団の「ニューイヤー駅伝」(7区間100km)と、大学の「箱根駅伝」(10区間217.1km)。ただ走っているだけやのに何が面白いねんと思う向きもあろうが、むしろ走って襷をつなぐだけの単純な競技やからこそ、ランナー1人ひとりが際立ち、競争に勝つため、1秒でも速くゴールするため、チームとして最大限の力を発揮するために、さまざまなやり方で挑んでいるのを応援したくなる。

テレビで疲れたら、目先を変えて活字に向かう。読み初めは、須賀敦子『霧のむこうに住みたい』、永井荷風『つゆのあとさき』。とんと本屋へ行かなくなったので、相も変わらず本棚から抜き出しての読書だ。

ままならぬからだをぐだぐだとゆるゆるしているうち、もう「寒の入り」になった。
穏やかな陽気の正月が過ぎて、暦のとおり本格的な寒さになる気配である。
世の中の動きも、ますます寒くなってきそうやし、かなんなあ。

綱渡りなわが家の経済も、なんとか年越しができた。倹しいながら卑屈にならず、ぼちぼちとやっていくだけ。いつまでもつやろか。ぢっと手を見る。

by rurou-no | 2017-01-05 10:57

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