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一所不住



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芭蕉布

芭蕉布は沖縄や奄美に古くから伝わる着物で、糸芭蕉の繊維を使って織られる。
見るからに涼し気な生地は、暑い地域に適したものであるが、需要が少なくなり伝統技法の後継者も減ってきているようだ。
沖縄では戦後占領した米軍に、糸芭蕉が片っ端から切り倒されて絶滅寸前まで追いやられる一方、占領地の土産物として米兵に好まれ、伝統工芸品としての息をつないだ。

その沖縄でまた、基地で働く元米兵の男に、20歳の女性が強姦され殺され遺体を遺棄されるという痛ましい事件が起こった。
こうした事件は占領期からずっと、日常的に続いていることを忘れてはならない。
これもまた、本土の安全保障のための犠牲である。まったく他人事ではない。わたしやあなたを守るため、わたしやあなたの家族や友人が被害に遭ったと同様なのだ。

そこに基地がある限り、このような悲劇はなくならない。これ以上の被害者を出さないためには、基地の全面撤退しかありえない。「再発防止と綱紀粛正」なんて「何も対策をしない」と同義語であって、同じような犯罪が繰り返されて今に至っている。
本当に基地が必要なら、真剣に本土で引き受ける方策を進めるべきだ。

今回も日本政府は形式的に抗議をしただけで、若い女性の尊厳が傷つけられ、将来ある命が奪われた事実に向き合わない。あまりにも鈍感すぎる。
昨夜、首脳会談後の記者会見冒頭をニュースで見たが、用意した原稿を棒読みするだけの首相は、事の重大さへの想像力が欠落している。ひたすらアメリカ側の立場を斟酌することしか考えてないのが、見え見えで見苦しいばかり。
忠犬アヘ公は、ご主人様の靴を舐めるだけの存在でしかなかった。

これほど自国民のことを考えない政府が、かつてあっただろうか。システムが代表者を選んだとはいえ、この国の民は不幸な時代を生きている。
by rurou-no | 2016-05-26 13:57

相撲場

大相撲夏場所は終盤戦に入ったが、今日はそこから離れて、禿頭爺にもあった子ども時代のお話。正真正銘「昭和」、そして離島の小さな漁村である。

島の東端に位置する集落は、海に近いハマと人家が密集するジゲがあり、禿頭爺少年の家はジゲからハマへ下りる途中にあった。どちらかというとハマに近く、遊ぶのはもっぱらハマの悪ガキ仲間とだった。敗戦後、十数年しか経っていないころだ。

こうして書きながら思い出したのは、モチノキの樹皮を削り取って細かく砕いたのを水で練って鳥もちを作り、木の枝に塗り付け、囮で呼び寄せたり口笛で鳴きまねしたりして、メジロ獲りをして遊んだこと。親類の家の庭にあったモチノキを削っていて、よく叱られた。

閑話休題、元へ戻ろう。相撲をとった子どものころの話をしようとしてたんや。
家からハマへ行く道沿いに広場があった。たぶん漁具置き場になっていたのだと思う。そこが、悪ガキどもの相撲場だった。地面に棒で円を引くだけで土俵の出来上がり。他に何もいらない。

その広場に面して四軒長屋が建っていた。一つ上のH君は母ひとり子ひとりの母子家庭、T君は兄と弟がいて、戦争で片腕を失くし義手をしたお父さんがいた。お母さんは島の外へ働きに出ていて、ほとんど父子家庭だった。まだ、ふつうに「戦争」が残っていた。
S君には兄さん姉さんのきょうだいが多かった。もう1軒は子どもがいなかったように思う。
長屋の向こうにK君の家があり、道を隔てて一つ下のY君の家があった。

禿頭爺少年はからだが大きかったので、相撲は割りと強い方だった(記憶はいい方へ更新す)と覚えている。立ち合って四つに組み投げを打ち合うことが多く、時に土俵外へ押し出すこともあった。禿頭爺が得意としていたのは、明武谷ばりのうっちゃり。わざと土俵際まで下がり、上半身を反り身にしてうっちゃりが決まったときの、してやったり感はなんともいえず気持ち良かった。

当時と比べ今の力士は体形が大きくなり、相撲内容までもが大味になってきた。相撲の醍醐味である技の攻防は少なく、パワー勝負の相撲が主流となっている。中には単なる格闘技と勘違いしている力士もいて、面白さも半減といったところか。
「す」はこれまでも「相撲節会」や「相撲場風景」など相撲ネタに。発想の貧しさがバレバレや。
by rurou-no | 2016-05-19 14:08 | 子ども時代

藪医者の薬味箪笥

日が経つのが早い。もう木曜日や。すっかりネタ切れというか考える力が衰えてきて、ここへ記す文字さえ出てこなくなった。やれやれ、あっ「や」からやった。
からっぽのあたま、ここは前にも使った姑息な手段で空白を埋めることにしよう。
 
久しぶりに非常時切り札の『ことわざ故事金言小事典』を開いてみたら、あるある。
というわけで、今日のタイトルは面白い添え文があったので採用したまでで、他意はない。

藪医者の薬味箪笥・・・腕まえのとぼしい者は、かえって、ぎょうさんに道具をそろえていることのたとえ。【類】下手の道具立て
近ごろ、古本屋街に「なんでもよい、豪華な全集ものを一そろえ届けてほしい。」という注文が多いという。”衣食足りて礼節を知った”のだろうか、新築した住居の応接間に知的アクセサリーとして誇示しようという魂胆。それだったらなにも本の内容は必要ないわけで、現にアメリカなどでは背表紙だけの陳列用全集が売られているという。だが、これを笑ってもいられない。評論と名がつく中に、誰々博士はこういった、某教授はこういう、と引用だけでうめつくし、

ありゃりゃぁ、やぶへびやった。たかがジジイの戯言に引用を多用してきたことを言い当てられ、まさに引用先から諭されてるやないか。藪医者の薬味箪笥に同じてか。
たしかに、そやなと納得してしまう。自分では存分に楽しんだ人生やったけど、客観的に見たら表面だけは取り繕っていても中身は空っぽのままやったかもしれん。
あぶない、あぶない、人生を振り返るとこまでいってしもた。

先日なにげにテレビを見ていたら、3坪の家を建ててふつうに暮している人が紹介されていた。鴨長明の方丈庵や西行の西行庵もかくや、と思わず見入ってしまうほど、コンパクトで無駄なく本当に必要なものだけで生活が成り立っていた。
起きて半畳寝て一畳、天下取っても二合半、人が生きていくのってシンプルな行為なんやと再認識した。真似はできないまでも、そうした思いだけは忘れないでおこう。
by rurou-no | 2016-05-12 14:27

てんやわんや

獅子文六の小説でも、漫才コンビのてんやわんや(獅子てんや・瀬戸わんや)のことでもない。
文字通り「てんやわんや」、怒涛の数日間になった。といっても大変だったのは連れ合いの方で、この禿頭は病気を理由に、渦の中へ近付かないようにしていた。

連休中に「法事」という田舎の大イベントがあって、一族四世代が寄り集まった。
連休でもあり、何かの行事がないとなかなか会えない身内は、当然何泊かしていく。
そうなると、迎える側は何日も前より、その準備に追われることになる。天気のいい日に何組もの蒲団を順番に干していく。部屋も広く使えるようにしなければならない。
ふだんは留守の母屋が大活躍するときだ。

日に三度の食事にも一覧表が必要になる。つまり何日は何人分、何を食べさすかである。
十数人の大家族が生活するって、昔ならふつうにあったのかもしれない。大家族であれば、家長の指揮下に皆が助け合ってやっていくイメージだが、ふだん遠く離れている数家族が一つ屋根の下へ集うと、てんやわんやな騒動が発生する。

早い話がそれぞれの作法の違い、とでもいうか、なにかと少しばかりの行き違いが生じる羽目になる。まあそのまま流せる程度のことである。大人同士の関係は微妙でややこしいものだ。
その点、子どもたちはいい。無邪気に遊んでいる姿は見ていて飽きない。

昨日の食事会(例によって禿頭は欠席)では、立派な若者になった孫たちが1人ずつ、おばあちゃんへ贈り物をするという美しい場面もあったそうだ。
「法事」の意味するところは実は、こうして残された一族が顔を合わせ、親しく交わることにあるのだろう。法要だけ顔を出した禿頭爺は、異分子的な存在でしかなかったと思う。

ともあれ、台風が去ったあとは後片付けが大仕事だ。母屋を掃除し、蒲団を日に当て(しばらく天気が悪くなりそうなのが気にいらない)、徐々に日常を取り戻していく。
静かでつましい、淡々とした日がまた始まる。簡素で穏やかな日々である。
by rurou-no | 2016-05-05 14:40

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