一所不住



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ウチナーンチュの訴え

19日未明、安保法案が参院で可決されてしまった。
「ぼくらの民主主義なんだぜ」(高橋源一郎)、さあこれから反撃やで。
それにしても17日の参院特別委の混乱はひどいものだった。採決への手続きを無視し、抜き打ち的に強行を謀った与党は議長席を二重に取り囲み、阻止しようとした野党は三重目から手を伸ばすのが精一杯で、上からダイブを試みた議員はカウンターパンチを食らい沈没した。

NHKの中継は意図的だったのか、与党議員の蛮行がわかりにくいように議長席のアップを写し続けた。この時点で愚生は、てっきり野党議員が混乱を仕掛けたものと勘違いした。しかし民放のカメラは議場全体をとらえていた。合図で与党議員が議長席の周りを固め、野党議員は呆然と立ち尽くしていただけだった。野党の抗議で議場は騒然となり、もちろん議長の声は聞こえない。議長席の近くから一人が合図を送ると与党議員が立ち上がる。どうやらこれが採決だったらしい。議長は数の確認のしようがない。それでも多数。

同じ19日、英国南部ブライトンであったラグビーワールドカップ・イングランド大会、日本代表は強豪南アフリカを 34対32 で破り、W杯史に残る勝利と驚きを世界中へ知らしめた。ラグビーはサッカーほど波乱は起き難いゲームで、上位レベルと下位レベルの実力差も大きいため、この試合も順当に南アが勝つことをだれも疑っていなかった。
ところがどっこい、こんなこともあるんや。まあ、南アは楽勝だと慢心してたんやろな。
昨日のスコットランド戦は 10対45 と大敗。集中力と個人の能力差は歴然だった。

21日(日本時間22日)、スイス・ジュネーブで開かれた国連人権理事会で沖縄県の翁長知事が、米軍基地が集中している現状を「沖縄の人びとは、自己決定権や人権がないがしろにされています」と訴えた。人権理事会は2006年、先住民への差別を禁止し人権を保護する宣言を採択している。翌年、総会で採択。
これに対し日本政府代表は「米軍基地問題は人権促進を扱う会合になじまない」と、冷たく反論した。米軍基地そのものが沖縄差別によって成り立っており、日米両政府によるウチナーンチュ(沖縄人=琉球人)への人権侵害が甚だしい現実から目を背ける態度は許せない。何をか言わんや、である。国は国民を守らない。国は国民を切り捨てる。これがこの国の実態だ。
by rurou-no | 2015-09-24 14:08

ポチの暴走

1週間の内に北関東大水害(10日)、阿蘇山噴火(14日)と二つの大きな出来事があった。
天と地、両方から試練を与えられたかのようだ。台風18号の影響による大量の雨は河川堤防の決壊や土砂崩れなど引き起こし、平穏な暮らしを奪ってしまった。一方、阿蘇山は危うきに近寄らず。次から次に発生する災害は、自分の身にもいつか起こるかもしれず他人事でない。

さて、この国の岐路を決する時が近づいている。
民主主義(国民主権)が守られるかどうかの重大な局面である。権力の横暴を許すまじ。
「200時間を超える審議」というが、新明解さんによれば 〈【審議】 提出された原案・が(で)いいかどうかを、何人かの人が集まって検討すること。〉となっており、その検討するためのまともな説明がないままでは、審議がまだ始まっていないとしかいえない。実質審議時間ゼロ。

集団的自衛権の行使は憲法違反であるのは、ここでも前から書いてきた。その後、憲法学者もそう断定している。法案の根拠とする59年砂川判決はそもそも、在日駐留米軍の合憲性を争ったものであり集団的自衛権についての文言はない。そして72年政府見解も「憲法上許されない」としている。どう曲解しようと、法案にすらならない性質のものである。

具体的事例として挙げた「米軍艦に救出される日本人母子」のイラストは、意味のないたとえとして破綻を認めた。「ホルムズ海峡の機雷」もありえない事態と撤回した。バカ丸出しや。
つまり、前提条件そのものがなくなったのだ。それに抑止力云々も実際的ではない。
明らかになったのは「集団的」という名の下に、自衛隊が米軍指揮下に入るという事実のみ。

廃案を求める数万人もの人びとが、連日国会前でデモをしている。一人ひとりが一個人として参加して、日々人数が増え、訴えは全国各地へ波及した。少し前まで考えられなかったことが動き出している。若者たちが先頭に立っているのが頼もしい。老若男女さまざまな人が集っていて、この国もなかなか捨てたものじゃないと希望を抱かせてくれる。
主権者である民の力で、暴走する忠犬アヘ公へ怒りの鉄槌を下すべし。
by rurou-no | 2015-09-17 14:59

日退月歩

台風18号直撃かと雨戸を閉めまわり、備え万端整えて警戒を怠らぬように緊張の一夜を過ごすはずだったが、進路がずれたおかげで雨風はそれほど強くなく、いい意味での肩透かし。
昨日は朝から好天に恵まれたここら辺とは違って、隣の三重県から東海、関東地方は大変なことになっていた。自然災害は限度をわきまえない。
「異常」が「通常」となった気象の荒れようは、地球が壊れてきていることを示唆するかのよう。

地球と一緒にするのもなんだが、この耄碌ジジイのからだも日々壊れてきていると実感するので、「日進月歩」ならぬ「日退月歩」とタイトルしてみた。人の細胞は常に更新されているそうだが、新しくなった細胞は進化から退化へ変換しているのではと思わせる老体は、日に月に退歩だ。ふだん連れ合いとの会話でも、あそこが痛い、ここが痛いと口にすることが多くなった。

昨夜、雨に洗われた夜空に満天の星が輝きを放っているのを見上げながら歩いていたら、膝が痛くなって途中で引き返す羽目に陥った。それも、いつも痛い左膝でなく右膝だから厄介や。
今年は異様に伸びるのが早い庭の草を取っていても、すぐ腰と膝が痛くなってくる。
椅子に座って本を読んでも腰と尻が痛む。おまけに目も痛くなり長時間続けられない。
せめて気持ちだけでも前向きにして、折り合いをつけながらやっていかないと。

日進月歩なんて幻想でしかなかったと、退化する社会が証明してるし、人間の劣化は目を覆うばかりで、現代人のひとりとして反省とともに、危機感が頭から離れない。
私たち人間は、なんで賢明になれへんのやろか。もっと謙虚になれへんのやろか。

ニュースで見たシリアの難民の姿が、敗戦後大陸から引き揚げる日本人の姿と重なった。
難民にすらなれないで殺戮される人びとのことを思う。大陸で命を落とした同胞の無念を思う。
宮本輝 『水のかたち』 再読。この中でも北朝鮮からの引き揚げ者の記録が再現されている。
70年前の出来事を忘れることなかれ。
by rurou-no | 2015-09-10 11:41

てんでに

9月に入って、朝夕が涼しく感じられるようになった。今週は秋雨前線の影響か、気の早い「秋の長雨」到来を思わせる空模様だ。
それでも時おり陽が射せば、ギラつく光はまだ夏の盛りである。

秋の雨といえば、台風の時以外はシトシト降るイメージだったが、近ごろは「どっどど どどうど どどうど どどう」と、賢治先生が表現した風の音みたいな、「太い」雨が多い。
ちょうど4年前、紀伊半島に甚大な災害を起こしたのも、この雨だった。

タイトルは、先月末に読んだ本の方言が印象に残っていたので、「て」から始まる方言はないかと最初に「てがう」、次に「てんでに」を思いついた。タイトルに関連した中味を考えたところ、「てんでに」で件の本のことを書けるかも知れぬと、こちらを採用した。とまあ、ええ加減なもんや。
「てんで」ではバラバラがくっついて否定的なニュアンスになるが、「に」を付けると、「めいめい」の意味で否定の部分が消えて、ニュートラルになるから言葉は面白い。

宮本輝 『田園発港行き自転車』 群像劇である。登場人物たちが富山、京都、東京それぞれの街で交差し、運命の糸につながれた縁によって、最後はてんでにひとつの場所へ向かう。
前述の「方言」とは、主要な舞台となった富山弁のこと。

金沢在住の頃、職場のパートのおばさんが富山の人で、彼女の話し方がそのまま小説の中で話されていた(微妙な言い回しまで文字でうまく表現されてた)。
早世した友人も富山出身だったが、読みながらおばさんの声がしっかり聞こえてきた。

ゴッホの『星月夜』、愛本橋、船見城址から見た田園風景、黒部川扇状地と北アルプス、自転車で走る北国街道、と小説の中の場所へ立ちたいと思わせる筆致は見事だ。北日本新聞へ連載されたというのもむべなるかな、立派にふるさと自慢の役目を果たしていた。

「いい人」しか出てこないのでなく、その人のいい部分を見ていこうという作家の姿勢なのだろう。
このジジイが住む突端の町でも、書き方次第で魅力的になるんやろな、たぶん。
by rurou-no | 2015-09-03 14:00 | 言葉・本

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