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一所不住



カテゴリ:食( 10 )


メジロは出世魚

メジロって鳥やないか、と言われればその通りなのだが、今回は食べながら思いついた魚の話。
漁師をしている弟から、メジロの差し入れがあった。もちろん獲れ立てだから刺身でいただいた。
翌日は残った分をづけにして丼で。あまりの美味さに、日ごろご飯はちゃわんに一杯しか食べない小生が、丼飯ニ杯も食べてしまった。

そこで今回のタイトルを「メジロのづけ」にするつもりだったけど「づけ」は前にも使ったので、「メジロ」だけのタイトルでもよかったが、「ろ」のしりとりは最近あったばかりだから、苦し紛れに「出世魚」を後へ付けた。と、しょうもないところで右往左往してしまった。
ちなみにメジロは、ツバス→ハマチ→メジロ→ブリの順番に成長する。

成長とともに名前を変えていくのは、われわれ人間も日本では明治時代初期までそうだった。
現代も芸能の世界にその慣習が受け継がれている。芸の上達とともに師匠の名や親の名を継ぐ「襲名」がそれだ。「名は体を表す」といわれるように、襲名によって芸が一段と伸びる人がいるくらいだから、たかが名前でも疎かに出来ない。周りの見方や態度も変わるしね。

一般人なら、社会的な地位や会社での肩書きが、それに相当するのか。ある種の役割を自覚することで、人は成長していくものなのだろう。地位や肩書きに見合ったものが自然と身に付いてくるようだ。もっとも名刺を肩書きで埋め尽くすような手合いは、中身のなさを肩書きに頼っているだけで本人の人格とは何ら関係がない。本末転倒というものだ。

メジロに戻ろう。づけを食べながら、「最後の晩餐」というのを思っていた。死ぬ前の最後の食事は何を食べたいか?との問いかけ。「メジロのづけ」でもいいなぁと。
はぎのなます(イシダイの刺身)を酢味噌で、とか、特上の鰻丼とか、おいしい手打ち蕎麦とか、チラシ寿司がええなぁとか、小豆を入れた玄米ごはんだけで十分とか、こんなことを考えていると食い意地が張っている本性がバレてしまいそうでみっともない。

そこで気がついた。最後の食事は何を食べるかより、だれと食べるかのほうが重要なことに。
もともと粗食を旨とするをよしとしてきた小生である。ごはんとつけもんだけで何ら不足はない。
by rurou-no | 2013-04-25 13:54 |

チゲ

チゲとは韓国の鍋料理のこと。入れる具材によって〇〇チゲと呼び名が変わると聞いた。
だいたいは唐辛子がたっぷり入った辛い料理で、冬が極端に寒い韓国ならではのもの。
日本人にはキムチ鍋という言い方が一般的で、分かりやすいと思う。

ここには何度か書いているが、小生は国内外を問わず旅先で食べる物が合わなくて困った経験はあまりない。「味覚は保守的」なんてとんでもない。
新しい味覚を味わう楽しみこそ旅の醍醐味であり、至福の時なのだ。

たとえば、外国から帰るとすぐに和食なんてことにはならず、数日前までいた国の料理を食べるためレストランを探して出かける口だ。幸い大阪では外国料理のレストランを見つけるのはたやすい。
旅をするたびに味覚の幅が広がるから、こんないいことはないのである。

韓国へ初めて行ったのは80年代初頭。
それまでもキムチは食べていたが、ソウルで食べたキムチが旨くて大好物になった。
チゲはプサンでだったか。とにかく美味しかった。辛いものはそれほど好みではなかったのに、味覚が変わってしまったようだ。ちなみに焼肉もほっぺたを落としそうになった(これはソウルで)。

さて、寒くなるとわが家でもチゲ風の鍋が定番料理として、しばしば食卓に上がる。
からだが温まって暖房費の節約にもなるから一石二鳥というわけだ。
近ごろは、(最後でなく)初めからご飯を入れるという反則ぎりぎりの食べ方が小さなブームで、これがまた旨いから癖になってやめられない。

最近はほとんど外食しなくなったが、食材はあちこちからいろんな物をいただけるし、その気になれば大概の物は手に入れることができる(金さえ出せば)。
ビンボーしててもなんとか生きていけるのはありがたいことや、と今日は殊勝にまとめとこ。
by rurou-no | 2012-02-13 19:50 |

ニガウリは口にウマし

味覚というのは人によっては頑固で意固地なものである反面、ある種の人には新しいものに目移りさせる浮気性なものだ。また、年齢とともに変遷していくものでもある。
以前はどうしても食べられなかったのに、いつの間にか好物になっていたりすることもある。

たとえば、関東地方では朝食に必ず出てくる納豆は、18歳で東京へ出るまで食べたことがなかったから、どうしても食べられなかった。それが、仕事で水戸へ行った時に「水戸で納豆を食べないなんて」と宿の人に勧められておそるおそる食べてみると本当に美味しかった。

また、ニガウリ(ゴーヤ)は20代のころ沖縄へ旅した時、チャンプルで一番うまいのは?と食堂のおばちゃんに聞いたら「ゴーヤチャンプルさぁ」と勧めてくれたので食べてみたが、初めて口にしたゴーヤは苦いという印象しかなかった。それが今では大好物になっているのだからおもしろい。

「に」で煮詰まりそうだったが、おととい昼の弁当と夕食でゴーヤが出たので今日のタイトルを思いついた。ちなみにゴーヤは友人からいただいたもの。ありがたい、ありがたい。

どちらかというと小生の舌は環境順応型にできているらしく、外国で食べ物に困ったことがない。最長で3ヶ月帰国しなかったが、その間に日本食を食べたいなんて一度も思わなかったし食べなかった。現地の食事が美味いから、あれはどんな味やろ、これはどんな味やろ、と試しているうちに3ヶ月なんてあっという間だった。やっぱり土地の人と同じものを食べないと勿体ないではないか。
だから梅干とインスタント味噌汁をバッグに入れて、なんて話を聞くと不思議な気がする。

浮気を重ね、韓国料理やタイ料理の辛さも平気になったし、ウガリの美味しさも知っている。
おかげで味覚の幅が広がった。
ただ何でもOKというわけでなくハラワタ系と一部の発酵食系は苦手で、それらはわが家では鉄の胃袋を持つ連れ合いの担当ということになっている。
by rurou-no | 2011-10-17 14:23 |

屋台

東南アジアを旅していて重宝するのが、屋台の食べ物屋さん。何かにつけよく利用させて
もらった。現地の人に混じって市場の中にある屋台で、食材は何でどんな味付けなのかも
分からないまま、みんなが食べているのと同じのを注文して食べるのが割と好きだった。

どこの国の人も旅人には親切だ。問いかけると言葉が充分に通じないながらも一所懸命に
教えてくれようとする。人と人の距離の近さはレストランでは気軽に味わえないものがある。
たぶん屋台で食べると美味しく感じるのは、この距離の近さゆえだからかも知れない。

その屋台で忘れられないのが、ジャカルタでの夜。小腹が空いたので何か食べようと通りに
出たら、バジャイ(小型タクシー)の運転手たちが集まっている屋台が目に付いた。みんなが
食べているのと同じものを注文して食べた。麺にドロとしたスープがかけられていたが暗くて
よく見えなかった。それからの1週間、地獄の苦しみを味わおうとは思いもよらなかった。

だいたい日本にいても、ラーメンは屋台で食べた方がなんとなく美味しいような気がする。
あの雑然さと不衛生さがかくし味になるのだろう。扉がなくノレン1枚だけの気安さからなのか
ついつい足が向いてしまう。博多の屋台通りは壮観で味も絶品だった。

江戸時代の蕎麦屋や寿司屋のように、今で言うファスト・フードは屋台から始まったのだ。
まぁ、いつの時代でも若い人たちはせっかちなもの。ファスト・フード店が流行るのも無理は
ないが、私にはあのどこへ行っても同じ店構えで同じ味(不味い!)というのがつまらん。

だいたいからして舌先が鈍感なアメリカ人に合わせてなんで不味いものを食べなあかんのや。
おかげで丼のチェーン店までも平気で不味いものを出すようになってしまったやないか。
ついつい声が大きくなりそうだ。おっさんのボヤキはみっともないからやめとこ。
by rurou-no | 2007-08-02 15:12 |

グミ

先日、おすそ分けで頂いたサクランボを食べながら、子どもの頃に食べていたサクランボは
こんなんじゃなかったという話を連れ合いとしていた。 (前にも同じ話をしたかも知れないと
思いながら) 食の記憶は一生付いて回るものだ。

私が食べていたサクランボは桜の木に成る実で、紫色に色づいたら食べごろになる。学校の
帰りの道草で毎日のように桜の木へ登り、よく色づいた実をそのまま手づかみで食べていた
ことを思い出す。手や口の周りが紫色になるので、道草したのがすぐにバレてしまうのだ。

サクランボの季節になるといつも、あのサクランボと違うなぁと思いながら、美味しい果実の前
では疑問も食欲に負けて、深く考えることはしないままであった。先ほどふと思い立ち調べて
みたら、やっぱり違う種類のものだった。見れば判るなんでもない事でも一応調べてみるのは
大人として欠かすべからず態度。こうして永年の疑問は解消した。

食卓の会話に戻る。サクランボの話からグミの話になった。菓子のグミキャンディーではない、
山に生えているグミだ。こちらは口の中が赤くなる。小さな実が甘くて、子どもにはたまらない
味だった。他にもアケビやビワ、ヤマモモ、ゴンパチ(イタドリと云うらしい)、野イチゴなどそれ
ぞれの季節になると森の中(「藪の中」の方が実態に近いか)を歩くだけで、子どもには恰好の
おやつがふんだんに手に入った。しかも金がかからず、体力と知恵が身についた。

「昔は良かった」と簡単に結論付けてしまうのは危険だが、昔は良かった。もっとも商店は一軒
だけ、加工品の菓子が口に入るのは盆と正月と祭りの時しかない40年ほど前の田舎だ。

子どもが豊かな環境で成長できる場が、どんどん失われてきているのは私たち大人の責任で
ある。なんとかしたい、なんとかできないかと思い続けている。
by rurou-no | 2007-07-17 10:43 |

トルティーヤ

ほんとは 「トルティージャ」 にしようと思っていたのだが、また 「じゃ」 へもどってしまうので
似た言葉の 「トルティーヤ」 へ変更。まっ、適当にええ加減にやっているから。

トルティーヤは、メキシコの伝統的な無発酵パン。すり潰したトウモロコシを薄く延ばして焼い
たもの。現在は、トウモロコシを挽いたコーンミールや小麦粉などで代用しているそうだ。
肉や野菜などの具を、トルティーヤで挟んだものがタコス

大阪に住んでいた頃は、難波にあるメキシコ料理屋さんでよく食べた。中に挟む具は色々と
バラエティに富んでおり、チーズにアボカド、そして食べたことはないがサボテンまで。
コロナビールテキーラを飲りながら、タコスで腹も満たすといった按配。

無発酵のパンは、世界の各地でそれぞれ工夫され作られている。粉と水を混ぜ合わせて
焼くだけの手軽なものだから、主食になったりおやつになったり形を変えて食べられている。

個人的に好きなのは、インドのチャパティ。カレーと一緒に食べる。発酵させて焼くナン
美味しいが、粉モン好きとしてはチャパティに軍配を上げたい。あと焼かずに揚げたプーリ
にして食べてもいい。他に中国には春餅(チュンピン)がある。

ちなみに、トルティージャはスペインの卵料理。
スパニッシュオムレツと言われているが、出所は中東・西アジアあたりらしい。

たっぷりのジャガイモと玉葱を大量の卵で包んで分厚く焼く。ケーキのような厚さのオムレツ
である。スペインを旅した時に食べてすっかり気に入ってしまった。
帰国してから自分でも作ってみたが、本場の味とはほど遠いものしか作れない。
by rurou-no | 2007-05-16 13:59 |

ズブロッカ

下戸の私が酒の紹介をするのも変だが、忘れられない一品として ズブロッカ がある。
ポーランド製のウオッカで、ボトルの中に必ず《ズブロッカ草》という香草が入っている。

ズブロッカ草(バイソングラス)は、ポーランド東部にある世界遺産ビャウォヴィエジャの森に
群生する、においの強い植物だそうである。
かやの一種で、希少な保護動物であるズブラ(ポーランド・バイソン)という野生の牛が好んで
食べることから、その名がついたと云われる。

香草の色素が溶け込み薄黄緑色をした液体は、独特の芳しい香りを発散する。
ある人は春の若草を思い、またある人は桜餅の香りと具体的になってくる。

酒好きとは勝手なもので、この酒は滋養強壮・精力増強に効果があるといって、酒量が増える
言い訳にしている。それというのも、力強さや威厳と権力の象徴であるズブラが食べるからだ。

冷凍庫に入れても凍らないから、キンキンに冷やして呑むのがいいらしい。
まだアルコールを断つ30年も前のこと、友だちの安アパートで集まって持ち寄りの宴会をして
いた時誰かが「いいものが手に入った。」と言って持ってきた。香草が中に入っている酒なんて
珍しいから、よく覚えていたのだと思う。40度の強い酒なので少ししか飲めなかった気がする。

下戸のため周りにいる呑兵衛どもから、「人生の半分を損している。」と、よく茶化されてきた。
言われてみれば、確かにその通りかも知れない。たとえそうであっても良しとしよう。酒のない
人生もまた楽しからずや、である。
by rurou-no | 2007-04-20 12:53 |

ズワイ蟹

京都に住んでいた頃、冬になると [蟹ツアー] と称して 兵庫県の香住町へ蟹を食べに
出かけたことが何度かあった。所変われば名も変わり、香住では「松葉蟹」と呼んでいる。

本場で食べる蟹はさすがに美味で、大阪の○○道楽なんかとは ひと味もふた味も違った
味わいであったのを覚えている。
以前に北海道で、花咲蟹を食べた時の 美味しさへの驚きを思い出したものだ。

当地方では冬場は、伊勢海老漁が盛んである。
時には獲れたての新鮮なのを おこぼれに与かることもあり、贅沢この上ない。

ただ、問題がひとつ発生した。
情けないことに〈痛風〉を患ってしまった。風が吹いても痛いアレだ。
アルコールの飲み過ぎでアル中になったのでも、飽食が過ぎて肥満体になったのでもない。
私の場合は、遺伝的要因からきている。

  〔血液中の尿酸の代謝異常。
   産生過剰と排泄低下により、血漿中の尿酸濃度が上昇し、高尿酸血症になる。〕


プリン体を多く含んだ甲殻類は、ご法度なのである。
薬とは縁のない生活が一転して、毎日きちっと食後に薬を飲んでいる。
これから歳をとるごとに 体のあちらこちらにガタがきて、薬が増えていくのだろうか。
気持ちとしては 体の衰えには抵抗しないで、そのまま受け入れたいのだが。
by rurou-no | 2007-02-10 12:28 |

づけ

島での暮らしで有難いのは、魚介類が新鮮で美味しいことだ。
いつも近海の定置網で獲れた魚を、その日のうちに食べている。しかも只で。
超ビンボーな我が家には、ちゃんと魚の分け前が届けられるようになっているのである。

ハマチやカツオの刺身は絶品で、獲れたては弾力があり口の中で踊っているかの体。
食べ切れなくて次の日になると、柔らかくなり旨味成分も出て、とろけるような舌触りに。

人間の欲は限りない。生で食べたいし、違った味覚も楽しみたい。
そこで 「づけ」 の登場だ。

醤油と酒と味醂と生姜に浸けて置くだけ。素材がいいと何をしても間違いがない。
そのまま食べるも良し。ご飯の上に乗せて「づけどん」にしても良し。薬味は、青紫蘇と
刻み海苔があればいい。

マグロのづけが一般的であるが、ハマチやカツオもづけにして食べる。これまた絶品。
なにしろ魚が活きている。それだけで幸せな気分を味わう旨さ を知ることになる。

思えば 都会生活では考えられない贅沢な食生活をしている。魚だけでなく、野菜も
分けて貰っているから、食卓の上は貰い物ばかり という日がやたらと多い。
世の中上手くしたもので、貧窮した我が家でも なかなか飢え死に出来ないのだ。
by rurou-no | 2007-01-29 14:41 |

ンガリ

日本語表記は一般的に 「ウガリ」 となっているが、アフリカの言葉には 「ん」 から
始まるのが多いから 「ウガリ」 を 「ンガリ」 と言ってもセーフ、と勝手に決めた。
というのも、私の耳には 「ンガリ」 と聞こえたから、許容範囲ということで。

「ンガリ」 とは、トウモロコシとキャッサバの粉を湯でこねて蒸したもの。
東アフリカの国々では、主食として食べられている。

ケニアへ行ったとき、これを食べてすっかり気に入ってしまった。
肉と野菜を煮込んだもの(カランガ)や葉野菜を炒めたもの(スクマ)などと一緒に
食べる。日本人にとっての米と同様、毎食ごとにンガリが出てくる。
作る人によって、微妙に味が違うので 食べ比べも楽しみの一つだった。

テーブルの上へ置かれた大きなかたまりを 手で千切って食べやすいように丸め、
口の中へ放り込む。蒸しパンの淡白なものといった感じで 副菜の汁を少しつけて
食べると、なお美味しくなる。

食生活に関しては、外国へ行っても困ったことはない。
人はそれぞれの地で、気候や風土に合ったものを食べてきた。それが一番旨い。
フランスではパンが、イタリアではパスタが、そしてタイ料理にはタイ米が美味しい
ことを知っている。言うまでもなく 日本の米は和食でこそ真価を発揮する。

ンガリを喰いたしと思へども ケニアはあまりに遠し
せめて新しき食を求めて 気ままなる旅に出でてみん 
by rurou-no | 2007-01-18 14:51 |

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