一所不住



地下水道

 ナチス・ドイツとの凄絶な戦闘の末、地下水道(下水道)へ逃げ込んだポーランド抵抗軍。
 出口がない、あってもそこにはドイツ軍がいて出られない。絶望的な状況に陥った兵士たち。
 真っ暗な地下水道を逃げ回るうちに発狂する者、耐え切れずにマンホールの蓋を開けて撃ち
 殺される者、自分だけが助かろうと姑息な行動に出る者、極限の状態に置かれた人間の浅ま
 しさが露骨になる。やっと見つけた出口には鉄格子が。その向こうにはソ連赤軍が見えるが。


20万人の犠牲者を出したワルシャワ蜂起。歴史に残る悲劇が舞台の 「地下水道」(1956年)
は、「灰とダイヤモンド」(58年) の アンジェイ・ワイダ 監督のポーランド映画。
54年デビュー作の 「世代」 と合わせて、抵抗三部作となっている。

「灰とダイヤモンド」は、心に突き刺さって忘れることが出来ない映画の一つである。
 第二次大戦末期ドイツ軍が降伏した直後のポーランド地方都市。反ソ派(反スターリニズム)
 テロリスト・マチェックに、ソ連傀儡である共産党幹部暗殺の指令が下りる。恋愛と殺人の間
 で揺れるマチェックの心情。戦勝パーティの花火の音に紛れて暗殺を完遂するが、マチェック
 も警備兵に撃たれる。ゴミ捨て場を逃げ惑いながら、虫けらのようにボロ屑の中で息絶える。


ドイツから解放されたと思ったら、ソ連に支配されるポーランドの複雑な事情。自主独立を希求
するレジスタンスが際限なく続く。アンジェイ・ワイダ自身も反ナチ・レジスタンスを闘った。

テロリスト・マチェックは、「地下水道」を生き残った兵士の1人であった。
マチェック役の ズビグニエフ・チブルスキー は、サングラス姿がカッコ良くて、その当時の私に
はアイドル・スターだった。この難しい名前をすぐに覚え、今でも忘れていない。

アンジェイ・ワイダはその後、「約束の土地」 「大理石の男」 「鉄の男」 「ダントン」 
「コルチャック先生」 などを撮り、現役の巨匠である。日本の美術にも造詣が深い。
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by rurou-no | 2007-05-02 14:30 | 映画
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一瞬を、永遠に
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