一所不住



砂の器

1974年松竹映画 「砂の器」
松本清張 の同名推理小説を原作として、野村芳太郎監督がメガホンをとった。
脚本は橋本忍山田洋次  音楽監督に芥川也寸志  テーマ作曲・ピアノ演奏 菅野光亮

映画を先に見てから小説を読んだせいか、映像の印象が強く残っている。
2時間半近くもある大作である。殺人事件の真相を追う刑事と、新進作曲家の数奇な運命がストーリーの中心に据えられていたが、脳裏に甦るのは 加藤嘉春日和秀 が扮する遍路姿で放浪する親子のシーンばかりである。たしか宣伝ポスターもそうなっていたはずだ。

当時は(今でもそうかも知れない)社会的偏見が強く残っていた、らい病(ハンセン氏病)患者の過酷な運命が事件の背景にあった。バイプレーヤーとして常に注目していた加藤嘉が渾身の演技で、差別の中で生きる人の悲惨な実態を表現した。彼の代表作とも云えよう。

事件を解く鍵となるのは、方言という設定も興味深かった。東北弁と出雲弁が似ているのは後に、TV番組 「探偵ナイトスクープ」〈全国アホバカ分布考〉 調査でも証明されている。

原作と映画の大きな違いは、殺人を犯すことになる音楽家がクラシックの作曲家になっていることだ。そしてテーマ曲となる名曲 「宿命」 が生まれる。
映画で使われる音楽は極めて重要な位置にあるのは言うまでもない。「砂の器」もこの「宿命」とともに記憶された。遍路姿で歩く親子とこの音楽が、映画の完成度を決定付けている。

この映画も30年以上も前に見たことになる。体にズシリとくる映画だった。「宿命」のフレーズが頭から離れなくなってから、そんなに経ったのかと思わず遠くを見てしまった。
殆どの場合は感覚的に映画を見る私が、思考的に見た映画だったような気がする。 
by rurou-no | 2007-04-05 15:45 | 映画
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