一所不住



浮草

「浮草」 は 松竹の看板監督である 小津安二郎 が 1959年 大映で撮った作品。
中流家庭のホームドラマ が定番であった小津監督にしては、旅芸人が主人公の映画は
異彩を放つ。実は自らが戦前に撮った作品のリメイクであり、本ネタはアメリカ映画にある。

 浮き草稼業といえるドサ廻りの旅芝居一座が、とある田舎の港町へ興行にやってきた。
 この町には、座長の嘗ての愛人と息子が暮らしている。座長は親戚の伯父さんとして
 息子に会いに行く。そのことを知った 座長の今の情人である一座の女優は、妹分を
 そそのかして、その息子を誘惑させる。有り金を座員に持ち逃げされた座長は 一座を
 解散させるが、息子の駆け落ち騒動を知るや息子を叱責し、自分は再び旅芸人に戻る
 ため駅へと向かう。


この映画は何よりも、キャスティングが成功していた。
旅芸人の座長には 中村雁治郎、その情人は 京マチ子、妹分には 若尾文子、そして嘗ての
愛人であった小料理屋のおかみには 杉村春子、息子は川口浩、とそれぞれ嵌まっている。

中村雁治郎 (二代目) は歌舞伎役者であり、また映画では大映を中心に活躍した。
舞台と映画双方で、名にし負う足跡を残した数少ない役者である。
この映画でも、ドサ廻り一座の座長ならではの、貪欲で助平で頑固で屈折した役柄を
過不足なく演じていた。

京マチ子 は旅役者の汚れた感じと看板女優の矜持を貫禄で、若尾文子 は蓮っ葉な色気を
たっぷりに、川口浩 (あの川口探検隊の隊長は美形の演技派俳優だった)は田舎の無垢で
一途な好青年を。そして小津作品にはなくてはならない脇役である 杉村春子 。文学座の
大看板であり、映画でも数々の名演技でその存在を遺憾なく発揮した。
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by rurou-no | 2007-03-19 13:51 | 映画
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