早朝、灰色の空にやや濁った赤い色の太陽が 貼り付いたみたいに浮かんでいた。
このところ蛇のようにうねっていたり、縦に真っ直ぐ伸びていたりと 奇妙な形をして、
怪しげな色の雲を見ることが度重なっている。
地元では、東南海地震が今にも来るかのごとくかまびすしい。
この冬の妙な暖かさは、その可能性を高める話題の後押しとなっている。
津波が来たらひとたまりもない海辺で 暮らしを営んでいる人々には、それへの恐れと
半ばの諦めが口の端に上ることが多い。
1995年の阪神大震災の時は京都に住んでいて、11階建ての10階にある部屋で朝
目を覚ましてほどなく 地鳴りの音、縦揺れ、横揺れと順番にやってきた。
前の日の夕暮れ時、東の空が不思議な色に染まって 陽が沈んでからも闇に落ちること
なく妖しい色に塗られたままだった。そこにおどろおどろしい雲が流れていた。
地震の前兆、と云っても後からアレがそうやったかと跡付けするに過ぎず、地球の温暖化
や生態系の乱れで異常気象が続く現状では、何が起こってもおかしくはない。
隙間だらけの我が家は、風が吹くと家の中の障子や襖が揺れるので すわっ地震か、と
緊張の日々である。その揺れ方が尋常じゃないため、ほんとの地震がきても分からない
のではと気苦労が絶えない。
その時 何処にいるか、で決まる。雲を天に任せて、心の準備だけは怠らないようにしよう。