ちょうど2年前、2004年10月27日 聴力を失った。
正しくは、シャ------- という砂嵐のノイズが 途切れることなく鳴っている。
この2年間は、たとえ1秒といえども止むことがない。
うるさいこと甚だしい。
左の耳が 原因不明の突発性難聴になり、右の耳がもともと聞こえなかったのもあって
身の回りから、耳鳴り以外の音が消えてしまった。
病院の医師は、「確かな治療法はステロイドの大量注入しかありません。」「元のように
聞こえるようになるのは 3人に1人、途中まで回復するのが 3人に1人、残りの1人は
聞こえないままです。」「一刻を争います。今からすぐ、入院してください。」
筆談でのやり取り、毎日3時間の点滴、生活が一変してしまった。
生活音が全くしないというのは なんとも頼りないものだ。たとえば机の上にペンを置くと
する、机の上に手でペンを置こうとしているのを 目で確認する、さらに机とペンが接した
時に発する音で 確かに置いたと安心する。普段は無意識にしていた作業でも それを
しなくなると 途端に不安になる。蛇口をひねって水を出す、確かに水は出ているのに、
水の音が聞こえないと 目で見えている方を疑いたくなる。
日常の何気ないことが、何事も新鮮で面白くなってきた。
新しい世界の発見だった。