目の前に 一葉の写真がある。
高校3年生の文化祭で 「父帰る」 を上演した。
幕が下りたすぐ後に、中庭で記念撮影したものだ。
舞台の緊張が解け、充足感に満たされた 6つの笑顔が
横1列に並んでいる。
左から 弟、父、母、兄、妹、そして指導してくださった先生。
1年後はそれぞれ 大学生、専門学校生、短大生、社会人になり、
ひとつ下の妹はまだ高校生。
セピア色になりかけた この写真を見るたびに思う。
1本の映画が撮れる と。
ひとりひとり 全く違う人生を送り、今でも
かけがえのない 友である。
社会からドロップアウトし、気ままなその日暮しで口を糊してきた。
我が身を振り返る時、彼らと出会った そのことだけでも
まだ半ばではあるが、自分の人生は大成功 と言える。