台風が東からやって来た。週末に列島を横断した台風12号は、例年とは逆の進路で東から西へと進み、九州を南下して奄美地方に停滞、円を描いて現在は西へ向かっている。
西の空を見て翌日の天気を占うという先人の知恵も今は昔、東の空の雨雲を警戒しなければならないとは、いったいどないなってんねや。
前回の続きになるが、もはや自然の生態系を維持する地球の回復力が、限界値を超えようとしているのかもしれない。生物の多様性が失われ、辛うじて保っていた均衡が崩れる瀬戸際に立たされているとしたら。
世界中で発生している「異常気象」は、地球が悲鳴を上げていると考えてみよう。人間の活動が地球をそこまで追い詰めた結果、もう人間を優しく包み込むことが難しくなってきたのだ。私たちはそのことを深刻に受け止め、真剣に考え行動していかなければ、未来の人びとへバトンを渡せない。
厄介なのは自然環境にとどまらず、人間社会にも多様性が失われ、単一な価値観が大手を振るうようになってきたことだ。誰もが情報端末を手にする中で蜘蛛の巣に絡めとられて、小さな枠の内に取り込まれているにもかかわらず、全てを手に入れたと錯覚、勘違いする者が増えてきた。そして思考すら簡単に操作され誘導されている。嘆かわしい限りだが、本人は気が付いていないから怖ろしくもある。
7月22日千穐楽だった大相撲名古屋場所は、三横綱と新大関が休場して、最高位は角番大関の2人という締まらない番付となった。
優勝したのは13勝2敗の関脇御嶽海。敢闘賞を受賞した豊山や朝乃山ら同世代の力士が頑張って盛り上げてくれた。
角界も世代交代の過渡期にあると思う。3人の横綱は引退したらいい。相撲協会も悪しき体質を改めて仕切り直すべきだ。
テレビでしか見ない相撲ファンだけど、切磋琢磨して鎬を削る若手の相撲の方が断然面白い。興行の観点からも、面白い相撲があってこそだから。
昨晩は、火星大接近の夜だった。
表題は大杉栄の「美は乱調にある、諧調は偽りなり」を、ふと思い出したので。