同じ町内であっても、実家とは離れた地区に住んでいることで逃げ場所があったから、まだましだった。田舎の初盆は多事多端、さまざまな決まりごとが静けさを追いやって、慌ただしい盆行事にしてしまう。
ある意味、しめやかな悲しみに浸る暇を与えない、生活の知恵なのかもしれない。
生まれ育った地は、半島の突端の町から(今は橋で繋がったが)海を隔てた島の、もっとも遠いところに位置する小さな集落、僻地の中の僻地である。
閉鎖的な気質は、古くからの習俗も変わらず伝承されることが多い。
11日に檀那寺へ地区の役員や初盆の家族・親戚など大勢参集して新仏をお迎え(何というのか知らない)する。そのあと精霊棚飾り、翌日に棚経、という段取り。
14日、15日に地区の人はみな、初盆の家を順番に廻ってお参りする(今年は七軒)。
もちろん供養の盆踊りもあって、16日は精霊さま。小船に乗せ海へ送る(最終的に焼却)。
田舎で暮らすのは大変なんや、と改めて思う。風習やしきたりに否応はなく、有無を言わせず参加が求められる。勝手は許されず、慣例に従うしかない。
幸いにして、出生地にも住居地にも根を張らない中途半端な状態は、周りから何の期待もされない楽なポジションだ。無責任ともいえる。それでも逃れられない付き合いはあるけど。
この1週間は非日常の時間が多かったせいか、あれっもう木曜日かぁ、次は何からやったんかいな、とパソコンに向かう体たらくだ。
実際は「多事多端」というよりも、自分の意思で行動するのでなく、決められた器に合わせていく作業がストレスとなって、疲労を残した。
そうそう、14日午前3時半ごろ、彗星を見た。連れ合いが寝る前に「今夜は3時ごろ彗星が見れるって」と言ったので、バカ正直に起きて夜空を仰ぎ見た。確かに、かなり明るい星が飛んでいたが、何彗星なのか聞かないままだった。名前を聞いてもすぐ忘れるから同じか。
(追記)昨日帰って来た連れ合いが教えてくれた。ペルセウス座流星群。彗星やのうて流星。そういえば「ペルセウス流星群」と言っていた気がする。老人のええかげんな耳と勘違いが間違いを生じさせるのだ。反省。