古座川町観光協会が発行した「古座川町の山歩き」地図を手に入れたので、順番に歩いてみようと2日に「国王山」へ、そして昨日(5日)は「嶽の森」へ登った。
国王山(318m)は初めに200mを一気に上ったあとは、なだらかな道になる「初級~中級」レベル。照葉樹林に囲まれた中を行く気持ちのいい山歩きを味わえる。もちろん花粉症患者には大敵のスギ、ヒノキの人工林もあるから注意しないといけない。
最高所の「国皇大神跡地」という祠があった場所からは、大島や太平洋の眺望がよい。
モデルコースではここで折り返しとなっていたが脚が物足りなさを訴えたため、その先にある「国皇大神」を目指した。「こんな山の中へどうして神さんを祀ったんやろ?」「元あった所もたいがい不便やのにもっと山深い所へ移したのは何でやろ?」「祭礼のときは皆で山を歩くんやろか?」などと考えながら踏み跡を頼りに辿り着くと、何のことはない移転先は祠の前まで林道が通っていた。
神聖なものとして恭しく崇めていた神さんでも、歩くことを厭うようになった人間の都合で簡単に引っ越しされてしまうもんなんや、と可笑しくなってきた。まぁ、ええかげんでええんやろ。
嶽の森(376m)は、古座川を挟んで「一枚岩」と向かい合う。「難易度:中級~上級」とあったのに、油断してた。気楽な気分で歩き始めたはいいが、比較的角度の急な坂が延々と続く道にすぐに息が上がってしまった。それでも粘りが身上の我輩とばかりに老骨に鞭を打って足を運ぶ。
頂上の手前は急峻な岩場になっていた。足場を確かめつつ上りながら「三点確保」なる言葉を懐かしく思い出す。途中、鎖があるところで一服し見晴らしの良い景色を眺めようとしたら突風が吹いて飛ばされそうになった。思わず鎖にしがみつき、下を見ると崖の向こうに古座川が見えた。途端に恐怖が襲ってきて、高所恐怖症になっていることを自覚した。
鎖から手を離すと風にあおられて飛ばされる、頂上まで自力では無理かもしれない、引き返すべきか、と逡巡しているうちに風がおさまり、なんとか雄岳頂上に立った。まったく恥ずかしくも情けない、わずか376mのヘタレ登山の顛末である。