朝、ボランティアセンターで受け付けを済ませると「マッチング」というのがある。
ボランティアを求めている内容に応じてそのことが出来る人を手配する作業で、厳密には個別に細かく対応していくためのものだが、現場はそんな悠長なことはしていられない。
家屋の浸水被害は、古座川流域で800軒を超えた。
今手伝いが必要とされるのは家の中の泥だし、家具や畳の運び出し、洗浄、片付け、掃除などが主な作業だ。というわけでボランティアセンターでのマッチングも、とりあえず登録を済ませた順番に必要な人数でチームを組んで依頼先へ出かける形になる。
即席のチームは毎日顔ぶれが変わる(偶然3日前と同じメンバーになったこともあるが)。
その日初めて会った人同士だから円滑な作業を行なえるのか多少の不安(実際に作業を始めると、みんな積極的に動いてなんら問題はない)はあったものの、どちらかというと人を観察する面白さの方が大きい。そして依頼者と世間話をするのも、楽しみの一つ。
被災者の前で、面白いやら楽しいやら不遜だと責めないでほしい。どっちみち大して役に立たないけど猫の手ほどにはなるだろう、くらいの気持ちで手伝いをさせてもらっているのだから勘弁して。
ボランティアは、和歌山市や大阪府内など関西からの参加者を中心として、四国、東海、北陸、信越と遠方から来てくれた人も。みんな自腹で駆けつけてくれている。頭の下がる思いだ。彼らは東北の被災地でボランティアした人が多い。中には向こうで知り合って一緒に来た人もいた。
濡れた畳は使い物にならないので処分したが、今年中に新しい畳の上に布団を敷けるようになるのやろか。電気製品はほとんど使えない。とりあえず台所を片付けて食事ができるようにすることから、と考えるほど気が重くなる作業を順番にこなしていくしかない。
以前の日常を取り戻せるのか、それはいつになるのか、不安は膨らむばかりである。
三陸沿岸地域は半年経っても復旧・復興には程遠い有り様だ。
私たちの力はあまりにも小さいが、継続することで成し遂げられるものがあると信じたい。