フランソワ・トリュフォー監督の「突然炎のごとく」(1962年、フランス)
主演はジャンヌ・モロー。
トリュフォーは盟友、ゴダールとともにヌーヴェルヴァーグをリードした。個人的にはゴダールが好きだったが、トリュフォーの映画もよく見た。ゴダールの「気狂いピエロ」はこの映画に触発されて作ったとも聞く。
ジャンヌ・モローが演じたカトリーヌはマリー・ローランサンがモデルだとされ、彼女の恋人だったアポリネールはローランサンに振られたことから代表作「ミラボー橋」を書いた、というのは話が出来すぎのようでもある。20世紀初頭、パリには若い芸術家たちが集まり交遊してお互いを刺戟しあっていたから、さもありなんといったところ。
ゴダールといえば、先日あったカンヌ国際映画祭へ久々に登場した、とニュースで伝えていた。そのニュースの中で一瞬だけ映っていたのは、たぶん老人になっても矍鑠とした姿の彼だったと思う。今年のカンヌは主演女優賞にジュリエット・ビノシュを選んだ。彼女はレオス・カラックス監督の「汚れた血」や「ポンヌフの恋人」で鮮烈な印象を残した。91年公開の「ポンヌフの恋人」は公開直後にパリの映画館で見たのでよけいに覚えている。
この年の12月、スペインではどこの町へ行ってもパトリス・ルコントの「髪結いの亭主」が大ヒット上映中で、映画館の前には足を組んで椅子に座り、挑発しているかのようなアンナ・ガリエナ(マチルド)のセクシーなポスターが貼られていたのを思い出す。
と、ここまで書いて「突然炎のごとく」のタイトルは前にも使ったことを突然、思い出した。
調べてみたら2007年6月25日に投稿していたが、内容が違うので今回も良しとしよう。
こんな時、自分の中にあるボキャブラリーやイメージの貧困さがばれてしまう。
いやいや、ここは「突然炎のごとく」という言葉に魅了されたため、と言い訳しておこう。
原作者のアンリ=ピエール・ロシェをモデルにトリュフォーが撮った「恋愛日記」も面白い。