一所不住



12ヶ月

1年は12ヶ月、当たり前のことだが
これも たかだか130年だ。
それまで 我が国でも時々、13ヶ月の年があった。
月の満ち欠けに合わせて 暮らしを営み、暦を作っていたから
どうしてもズレが生じる。
そのため3年に1回くらい うるう月を設けた。

私たちが 現在使っているカレンダー(太陽暦)は、あくまでも
便宜上と考えた方がいい。
外国へ行けば 様々な暦に出くわす。
それぞれの国で 生活に根ざした、昔からの暦が並存して使われている。
曜日や日にちが 訳が分からなくて面白い。

この違うことこそが、大事なんだと思う。
もちろん統一した方が合理的だし、その必要性についても異存はない。
ただ、たとえば私たちの場合で言えば もっと月を身近に置いて、いつも
月を眺める習慣を身に付けていた方が 気持ちいいはずだから。
私たちの体は 月の影響を受けているのだし。
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# by rurou-no | 2006-10-15 18:14

11歳

地元の人は皆、親しみを込めて 「トルコの墓」 と呼ぶ。
海難事故のため、近くの海で亡くなったトルコからの外交使節団員と
トルコ人船乗りを供養する 慰霊碑である。
時代は明治、1890年9月の出来事だ。

以来、5年ごとに慰霊祭が行なわれてきた。
その時に 小学生が必ず歌う追悼歌がある。
   陽は落ちぬ 悲しび深し はるけきか 一つ星なる 海鳴りの
   いよよ冴えきて 白塔の ひらめきうつし 堪えがたく 祈る声とも
          作詩 泉丈吉  作曲 打垣内正

樫野小学校の児童によって 歌い継がれてきた、
マイナーな曲調の 忘れがたき歌。
40年経った今でも 諳んじて歌うことができる。

音楽を 初めて 美しい と感じた。
哀しみの歌 であるにもかかわらず だ。
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# by rurou-no | 2006-10-14 14:11 | 子ども時代

背番号10

プロ野球の 北海道日本ハムファイターズが
昨夜、福岡ソフトバンクホークスに サヨナラ勝ちし、
25年ぶりに パシフィック・リーグの優勝を決めた。

今朝 この記事を新聞で読んでいる時、子どものころファンだった
背番号10 を思い出した。

日ハムファイターズの前身球団  東映フライヤーズ
外野手 張本勲  本名 張勲(チャン・フン)
安打製造機の異名をとり、前人未到の通算3000本安打を達成するも
本塁打王と打点王のタイトルは、いつも強打者野村克也に次ぐ2位だった。

野球少年は右利きにも拘らず、憧れの選手を真似て左打ちの練習を始めた。
おかげで、左右両方で投げたり打ったり出来るようになった。

実は、張本選手も右利きだったが 子どもの時の火傷の後遺症で
右手が自由にならなかったため、左手を使うようになったと知ったのは 
あとになってからだった。

このことを知った少年は、ひそかに ニンマリとした。
生まれつき 右手でじゃんけんのチョキ(つまりⅤサイン)ができないことを
恥ずかしくて隠していたのが 逆に誇らしくなった。
少しだけ、憧れのスターに近づいた気がしたからだ。
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# by rurou-no | 2006-10-13 16:04 | 子ども時代

九鬼周造

哲学者
代表的な著作に 『「いき」の構造』 がある。
   #ようするに九鬼は、「江戸の鉄火」と「ヨーロッパの
     形而上学」と「京のはんなり」を、その土地からも
     その言葉からも吸い込んでいた。 (松岡正剛)

江戸時代の遊郭に身を置き、「媚態」「意気地」「諦め」から
「いき」=「粋」とは何かを明らかにしていく。

「粋」=上方では 「すい」
当時の新興都市で、先端文化の華が開いた江戸に対し
成熟した文化と経済に支えられた、難波の都大坂では
より洗練された、深い意味合いで使われていたようだ。

江戸の「いき」に憧れ、上方の「すい」を知る。
野暮な人間にだけはなるまいと、身を処してきた。
果たして どこまで行っているのか?
「粋」への道は遠い。
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# by rurou-no | 2006-10-12 15:13 | 言葉・本

8日 ハシリマイ

10月9日、10日は雷公神社のまつり。
宵宮の8日は 200年続く伝統行事ハシリマイの日である。
3メートル余の苦竹を束にして 火を灯した松明を掲げ、神社と寺へ
走って参ることから走り参い

由来を遡れば、900年も前と 大龍寺の過去帳に記されているそうだ。
神様をお寺で持て成すという、愉快な伝説が残されている。

当地方では、〈神倉神社のお灯まつり〉 〈那智の火祭り〉 とともに
三大火祭りと並び称されるが、その際立つ美しさほどには知られていない。
想像して欲しい ・・・
暗闇の中で 1本の線となった火が、うねりながら流れていく。
そして、その火が神社の森を登っていく。

おそらく ハシリマイを走ることが、子どもから若い衆への
通過儀礼のようなもではなかったのか。
盆、正月に帰らなくても ハシリマイには帰る若い衆が
今でもいると聞くのは 嬉しい。
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# by rurou-no | 2006-10-11 13:41 | まつり

「第七官界彷徨」

尾崎翠という稀有な才能をもった作家の
小説を読んだ時、読書する快楽の
新しい扉が開いた。

それまでは 小説に限らず、文章を読むことは
まず、書かれている内容を理解し、想像を巡らせたり
そこに自らを投影させたりする作業であった。
ところがこの 「第七官界彷徨」 は そうした作業を
受け付けなかった。

なにやら 奇妙な面白さは、感覚器官を刺戟した。
いみじくも彼女自身が言う
「私はひとつ、人間の第七官にひびくやうな詩を
書いてやりませう。」
の罠に はまってしまった。

美術作品を前にしたときに そうしていたことを
本でも同じだと 気付かされた。
わかろうとしなくてもいい、感じればいい と。
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# by rurou-no | 2006-10-07 13:28 | 言葉・本

6人

目の前に 一葉の写真がある。
高校3年生の文化祭で 「父帰る」 を上演した。
幕が下りたすぐ後に、中庭で記念撮影したものだ。
舞台の緊張が解け、充足感に満たされた 6つの笑顔が 
横1列に並んでいる。

左から 弟、父、母、兄、妹、そして指導してくださった先生。
1年後はそれぞれ 大学生、専門学校生、短大生、社会人になり、
ひとつ下の妹はまだ高校生。

セピア色になりかけた この写真を見るたびに思う。
1本の映画が撮れる と。

ひとりひとり 全く違う人生を送り、今でも
かけがえのない 友である。

社会からドロップアウトし、気ままなその日暮しで口を糊してきた。
我が身を振り返る時、彼らと出会った そのことだけでも
まだ半ばではあるが、自分の人生は大成功 と言える。
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# by rurou-no | 2006-10-06 09:54 | 子ども時代

五感

生まれつき 五つの感覚器官のうちの一つ、
聴覚に問題があった。
そこはよくしたもので、他の四つが人並み以上に
優れて 敏感となる結果をもたらした。

これは 他の動物なら当たり前のことだ。
生き延びる為に 嗅覚が、或いは視覚が発達して
その能力は  無限の可能性を秘めている。

こうしてみると 五感がほぼバランス良く(?)備わっている
人間の方が 退化しているのかも知れない。

欠陥ではなく、より自然の中の動物に
一歩近づいたと考えれば 望むところである。
しめしめと ほくそ笑んでしまう。
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# by rurou-no | 2006-10-05 16:13 | 子ども時代

4km

中学生のころ 毎日、学校まで片道4kmの山道を
歩いて通った。

各教室が 一本の長い廊下でつながっていた
懐かしい木造校舎は、すっかり建て替えられ
今や 当時を偲ぶよすがもない。

学校とは、教養や知識を身につける場であるとともに
感性を磨く場でもある と思う。
いったい 校舎は誰がデザインし、それを誰が決めて
建てているのか?
滋賀県の豊郷小学校の例を出すまでもなく、
美しくデザインされた校舎を壊して、
無機質で醜悪な校舎ばかりを建てる罪は 極めて重い。

西ヨーロッパを旅した時、どの街へ行っても 建物や街並みに
美を守る為に譲れない一線を 確固として持っていると強く感じた。
そうしたものに囲まれて 成長する子どもたちに比べ、私たちは
美意識を形成する上で ハンディを課せられている。

こりゃ、かなわんはずや。
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# by rurou-no | 2006-10-04 13:55 | 子ども時代

三線 (エイサーの夜)

沖縄で島唄の虜になってしまった。
そんな人は大勢、いると思う。
古い友人で、沖縄民謡を歌うバンドを作ってしまったのもいる。

宴席で興が乗ると、誰とはなしに三線を弾きだし
それに合わせて、喉自慢が歌いだす。
そして、踊りが始まる。
最後は必ず、皆でカチャーシーになった。

「旧盆に来ればエイサーがあるさぁ」と聞いて
出かけたことがある。
各地区ごとに趣向を懲らし、男たちは揃いの衣装に太鼓を持って
女たちは七分丈の浴衣を揃えて、手踊り。
三線と唄が横につく。

一晩中、演奏しながら踊り明かす先祖供養。
とことん付き合おうと、朝までついて回った。
忘れられないエイサーの夜。
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# by rurou-no | 2006-10-03 15:37 |


一瞬を、永遠に
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