一所不住



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雲を見ている自由

「近ごろの新聞って広告ばっかりやね」と、連れ合いがボヤくのも無理はない。それも、全面広告が増えた気がする。ちなみに今日の新聞では、36ページ中6ページが全面広告となっていた。
記事といっても少し前までの紙面はオリンピック一色で、そのあと高校野球が幅を利かせていた。

重要なニュースがあったはずなのに、こんなんでええんかいな。
こうなると、問題から目をそらすべく読者を誘導するため意図的にそうしているのではないか、と穿った見方はあながち外れてはいまい。
スポーツ大会は往々にして、不満のガス抜きとしての役割を担ってきた。

月に3千円も払う値打ちがないやないか!新聞の矜持はないのか!と振り上げた拳は、ついつい毎週月曜日には収めてしまう。この日だけは目尻を下げて、いそいそと紙面を開くのである。
目指すは「朝日歌壇」欄、真っ先に富山市の姉妹の名前を探す。

タイトルは20日に掲載された姉の歌、「日焼けする日ざし中二の夏休み黙って雲を見ている自由」から借りた。
同じ日、妹は「太陽がまだ飛び込んでこないから一番乗りのプールは青い」と詠んでいた。

理知的な姉は、小学生から中学生へと着実に大人への階段を上りながら言葉を獲得し、世界を広げていっている。この「黙って雲を見ている自由」はさらに大きく一歩を踏み出した印象を受けた。
一方、妹は感性の鋭さで秀でる。見る、聞く、触れるなど五感の体験を言葉に変換する能力は、弟子入りを請いたいと思わせるほど発想の豊かさに溢れている。

もちろん掲載作を通じてしか知らない姉妹ではあるが、いつしか親戚の子どもの成長を見ているような気持ちで、月曜日の朝を待っているのだ。
6日付には、子どもたちと一緒に母親のも掲載されていた。「最後まで地図を見る娘とその町の人に聞く娘と京を旅する」。

子どもにどのような環境を用意できるのか、大人の責任は重い。
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by rurou-no | 2012-08-24 11:04 | 言葉・本

どんどん描いていく

7月下旬から休みなく仕事をしていて今日やっと休みになった。夏の盛り、からだに突き刺す光をまともに浴びて、休むこともままならない臨時の末端労働者はつらいよ。
そういえば、去年の12月から今年の3月までもそうだった。真冬の野外で寒い思いをした。

久しぶりにブログを更新しようとしたら、ログインできない。ありゃりゃ、とうとうつまはじきにされてしまったのかとあれこれ試してみて、パソコンの不具合であることが判明しなんとか侵入できた。

さて、と。この20日間、さまざまな出来事があった。
個人の日記だから極私的な一つを挙げると、黒田征太郎さんの健在ぶりを目にしたことであろう。

今月3日、新宮市で《中上健次没後20年 '12熊野大学夏期特別セミナー「ケンジアカデミア」公開講座》が開かれた。講座①文芸漫談「軽蔑」をめぐって 講座②ライブペインティング「ケンジに捧げるインプロビゼーション」の2本立て。

①は、いとうせいこうと奥泉光の2人。意外だった奥泉さんのファンキーキャラ全開爆裂トークは、小説とはひと味違った彼の面白さを発見した。2人とも中上ファンとして中上小説の読み方、解釈の仕方など披露し合い、下手な漫才なんかよりずっと笑える堪能な喋りであった。

そして疲れたからだを引きずって車で1時間、出かけた甲斐があったと思わせたのが黒田さん。「クロセイ」という記号で認識し(立ち回り先が重なるという意味で)身近な常に気になる存在だった。
いつものように「黒田です」と「ろ」にイントネーションのある自己紹介で「73年も生きてしまいました」と話し出した。

ひとしきり中上健次の思い出を語ったあと、からだを斜に構えて猛然と描き始めた。何かに突き動かされているかの勢いでどんどん描いていく。まさに真剣勝負を挑んでいる気迫で圧倒された。
小さな画用紙に40分で40枚。一気呵成で描き上げた。意識的かどうか、どの絵にもたくさんの目が描かれており、無数の目に見つめられた。クロセイ健在なり、や。
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by rurou-no | 2012-08-17 13:26 | 地域


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