庭の小さな花壇に植えてあった
ガジュマルの木が思っていたより早く成長し、花壇に収まり
きらなくなってきた。この勢いでは我が陋屋よりも大きくなるのは時間の問題かと思案にくれ、
ガジュマルに侵略される前に植え替えようということになった。
ガジュマルはご存知のように、奄美や沖縄など亜熱帯から熱帯地方に自生する常緑樹。
精霊が住む木といわれている。奄美では「ケンムン」、沖縄では「キジムナー」と呼ぶ。
1年とちょっといた前の住まいは、同じ町内でも高台にあり常に風か吹いている寒帯地方?で
鉢植えで買ってきたガジュマルはそれほど大きくならなかった。それが亜熱帯の島へ移るや
水を得た魚、土を得た木、生育環境が合ったのか見る見るうちに大きくなってきた。
さて、先日植え替えるべく木の周りの土を掘り始めて驚いた。掘れども掘れども、根が奔放に
伸びていて先に辿り着けない。木の大きさから予測していた以上の広がりで、その勢いの強さ
に早くも白旗を挙げて途中で切るはめに。あの調子だと、土のあるところ花壇中に根を張って
いたかも知れない。まだ手に負える段階でよかった。放っておいたら、どうなっていたことか。
掘り出したガジュマルは、無事に実家の畑の片隅に居場所をみつけて植わっている。
20mくらいの大木になるらしい。沖縄で見た木は確かに高さも幅も大木に相応しいボリューム
で気根がその木と覇を競うかのごとく、縦横無尽・自由自在に張り巡っていた。
今度はどれだけ大きくなっても大丈夫だ。
幸福を運んでくるといわれる精霊は住み着いてくれるやろうか。この地方では何と呼んであげ
ればいいのやら、その日を楽しみに待っていよう。