一所不住



泥の河

忘れられない日本映画のひとつに、「泥の河」 がある。
宮本輝 原作  小栗康平 監督  安藤庄平 撮影  内藤昭 美術  〈1981年作品〉
出演は、田村高広 加賀まりこ 藤田弓子 芦屋雁之助 殿山泰司 そして子役の、朝原靖貴(のぶちゃん) 桜井稔(きいっちゃん) 柴田真生子(ぎんこちゃん)

戦後10年くらい経った、大阪安治川河口が舞台になっていた。川のほとりにある食堂の少年と川に浮かべた廓船に暮らす姉弟の、ひと夏の交友と別れを描いている。
大事に育てられているのぶちゃんと、きかん坊のきいっちゃん、痩せていておとなしいぎんこちゃん(この子がはかなげで妙に色っぽかった)、それぞれの表情が脳裏に焼きついている。

純朴さと残酷さを併せ持つ無垢な子どもたちの姿を通して、当時の大阪では当たり前だったであろう生活とその背景が、静かで端正な画面からリアルに伝わってきた。

大阪で安治川の近くに住んでいたころ、あの廓舟はどこに浮かんでいたんやろ と映画を思い出しながら、よく川沿いを歩いた。周りの景色は変わってしまったかも知れないが、変わらない泥の川とその空気感は、今も廓舟が浮かんでいても不思議でない雰囲気を残している。

小栗康平はその後、「伽耶子のために」 (原作 李恢成)  「死の棘」 (原作 島尾敏雄) そして 「眠る男」 と寡作ながら目が離せない監督となった。
残念ながら最新作の 「埋もれ木」 だけは見ていない。

実はたまたま、宮本輝の 「ここに地終わり海始まる」 を読んでいるところだった。ヨーロッパの最西端にあたるロカ岬に、その言葉を刻んだ碑文がある。そこから出した絵葉書が物語の発端になっている。割と愛読しているこの作家のことについても、機会があれば書いて見たい。
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by rurou-no | 2007-03-08 15:54 | 映画
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