世の中は広く、骨をうずめる場所はどこにでもあるから、故郷を出て大いに力を発揮すべし。
前回に書き残していたことを考えていたら、ちょっと大袈裟なタイトルとなってしまった。
地味ながら考えるスポーツとして割と好きなカーリングで、LS北見がカナダで行われた世界選手権において準優勝するという快挙を成し遂げた。
LS北見は本橋麻里選手が当時最強だったチーム青森を離れて、故郷北見に作ったチームである。その看板選手が産休に入り、司令塔であるスキップを託したのが日本選手権4連覇の実力派、藤澤五月選手。彼女も所属していた中部電力を退部し、出身地の北見へ帰って来た。
サードの吉田知那美選手もまたオリンピック後、北海道銀行を抜けLS北見へ合流している。
それぞれに事情や気持ちの揺れなどあったと思うが、カーリング競技を続けるために故郷を出、そして故郷へ帰ってきたメンバーが世界の舞台で大活躍した。常呂町という小さな町が産んだ選手たちが、世界の頂点へ近付いたのだ。
メディアの扱いは小さいけど、もっと誉められてしかるべきである。
年寄りには彼女らの美しい姿は、とてもまぶしい。そろそろ青山(=墳墓)が近い現実となってきた身には、たとえば知那美さんの笑顔や悔し涙は、見ているだけでええもんや。
老人家庭では、自分が死んだら、という話が当たり前のように話題になるからね。
葬儀はしなくていい、戒名はいらない、焼いたあとの骨は適当に処理して、などと。
【訃報欄】日本近世史・近代史、宗教思想史の研究に大きな足跡を残した一橋大名誉教授の安丸良夫(やすまる・よしお)さんが4日午前、東京都内の病院で死去した。81歳だった。(中略)中世史の網野善彦氏や西洋史の阿部謹也氏らと並び、戦後の日本の歴史学界をリードした研究者の一人で、幕末の世直し一揆や自由民権運動など検討し、斬新な民衆運動論を展開した。表層下の民衆意識を把握すべく取り組んだ大本教などの新宗教の研究や近代日本の形成論、歴史学の研究史の再検討など、広範な業績を残し、宗教学や社会学にも影響を与えた。(朝日)