朝ごはんのとき、「そろそろ店にクリスマスの飾りをしなけりゃ」と連れ合い。「まだ11月やど」と返すと、「けど、アイルランドではハロウィンがすんだらクリスマスの準備を始めるって言ってたし」。
おととい(8日)、古座川町の「ダーチャやまんば」で、守安功さん(アイリッシュ・フルート、リコーダー、ホイッスル)と守安雅子さん(アイリッシュ・ハープ、コンサーティーナ、バゥロン、スプーンズ)によるアイルランド音楽のコンサートがあった。
もともとアイリッシュの音楽は好きだから、フォークソングやダンス音楽をもっと聴きたかったというところはあったものの、アットホームな雰囲気を優先させたと思われるプログラムは、オペラ歌手であるオーナーをステージに誘い出しその歌声を存分に味わうという贅沢な演奏会となって、ご馳走を腹一杯いただいた満足感に浸った。
アイルランドではハロウィン(10月31日)が明けた11月1日は新年。そのあとはクリスマスの準備に忙しくなる、とは演奏会の中で守安さんの話。クリスマスなんて縁のない人間にはひたすらやかましくて迷惑なだけだが、商売人にとっては大事な商機なのである。
上方落語『近日息子』は、「アホ作」「ヌケ作」と近所から言われている息子の作次郎が親父さんに意見されるところから始まる。芝居小屋の看板に「近日」とあるのを見て、明日からと勘違いした息子に「商売人は先へ先へと気を利かしていかなあかんねん」と普段から気ぃ利かせよと諭したところ、親父さんが出ぇたいときに出さなんだら腹具合が悪いとボヤくのを聞いて医者を連れてくる。医者がどこも悪くないのに、と首を傾げたのを見て、よっぽど悪いと思い込み親戚へ電報を打ち葬儀屋の手配までして棺桶を担いで帰る。表には鯨幕を張り忌札まで貼る念の入れよう。その様子を見た近所の人らは親父さんが亡くなったと騒ぎ出す。親父さんに叱られた作次郎、「忌札見て見て騒いでるやなんて、近所の人も無学なあわてもんが多ぉまんなぁ」「ご近所の人がなんで無学なあわてもんやねん」「よぅ見てもろとくなはれ、忌札の肩に『近日』と書いておます」で、サゲとなる。
そういえばどこかの首相が「近いうち」と言ったら、その時期を巡って欲ったれどもが右往左往している。こちらは笑い話にもならない低レベルやから処置なしや。