2年ぶりに開催された大相撲春場所は、横綱白鵬の優勝で幕を閉じた。
今場所の主役は関脇鶴竜、優勝決定戦に敗れたものの、凄みを増した基本に忠実な取り口が最後まで場所を盛り上げ、念願の大関昇進を果たした。
贔屓の豊真将は9日目以降に7連勝して11勝4敗と好成績。来場所は小結返り咲きか。
ご当地大阪出身の新鋭、勢は5勝10敗。細いからだで懸命の土俵を務めるチェコ・プラハ出身の隆の山は4勝11敗で残念ながら十両陥落となろう。
「久島海」は今年2月13日に急逝した田子ノ浦親方(本名・久嶋啓太)の現役時代の四股名。
新宮市出身でアマ横綱から角界入りし、将来は大関間違いなしの大器と期待されたがけがで伸び悩んだ。体調は万全でなくとも八百長に手を染めず、真面目な土俵姿を記憶している。
親方として幕内3場所目の碧山を育て、あとに続く弟子にも恵まれて順風満帆だったのに惜しい。
田子ノ浦部屋に在籍していた力士は、幕下で海龍が、三段目で碧の正が、序二段で碧己真がそれぞれ7戦全勝で優勝した。碧山も8勝7敗と勝ち越した。
1年前は不祥事で場所を開くことすら出来なかった相撲協会だが、改革に大鉈を振るった放駒理事長が定年となり、組織の改革が頓挫しないかと心配である。
単なるプロ・スポーツに収まらない、神事としての伝統も併せ持つからには土俵上の所作など様式美も大事にしてもらいたいと願う一ファンとしては、協会の現体制は心許ない。
ともあれ無事に終わった春場所。
高校生で史上初のアマチュア横綱、日大時代は3年連続の学生横綱と華々しい活躍をした。
46歳の若さだった。郷土が誇った相撲取りだった親方の冥福を祈りたい。