一所不住



のたりゆくひねもすのたりなつのまち

週末の土日は約1年ぶりに電車へ乗って、紀伊半島南端の町を出た。
濃厚な時間を過ごした顛末は、与謝蕪村風に五七五、17文字のタイトルとなった。

真夏の京都へ出かけるなど、分別ある大人なら慎み深く避けるはず、という考えに異論はないだろう。その禁をあえて犯してまで出かけることになったのは、「踊り続けて三十余年、奇想のダンス集団」とキャッチコピーした「唖撫駆」の公演案内が届いたから。

「えーっ、今年もやるのー?」と周囲の心配をよそに<アラ還ダンサーズ>は会場となった、120年の歴史ある立誠小学校跡に物の怪となって現れた。会場が「自彊室」って、明治時代の小学校にはこういう部屋が必ずあったのかしらん。物の怪たちとの取り合わせの妙は意味ありげだ。
 
ともあれ、他に類を見ないためどんなに言葉を尽くしても説明しきれない舞台は、万難を排して見るべし。出演者たちそれぞれの芸風は完成されつつあり、いつも同じようでいて違うところなどは伝統芸能に近いものを感じる。新しいアイデアにあふれ、さまざまな想像を喚起させる見せ方、揺るぎない美的センスは、常に新鮮な驚きに満ちて瞬きするのも勿体ないほどだ。

翌日は、1933年築のモダニズム建築、御影公会堂全館を使用した「おまゆみソロ」。彼女はインスタレーションなど、空間とのかかわりの中で身体を動かす、パフォーマンスともダンスとも演劇ともいえないジャンルを超えた表現をする。今回はレトロモダンな建物全体を自分のからだの一部とした、スケールの大きな作品だった。

この2日間は京都と神戸の街をよく歩いた。「ひねもすのたり」という言葉がふさわしい歩き方をした。あいにくの雨模様のおかげで、それほど暑さにへばることなく歩けたのはむしろ幸運だった。

そして極め付きは帰りの電車。「集中豪雨のため倒木があり架線が切断されてきのくに線は運転を取り止めています」と車内放送があり、和歌山の手前で電車が止まってしまった。
一時は電車での夜明かしも覚悟したが1時間後に復旧、運転再開となったものの前に電車がつかえ徐行運転。挙句の果ては鹿をはねて(3度も)、そのたび停車して、を繰り返しながら駅に着いたのが3時間遅れの深夜1時25分。いつもより倍の時間を電車に乗せてもらえたのはありがたいことだ。それにJRから水とカロリーメイトまで頂戴した。ひねもすのたりのたりかな(蕪村)。
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by rurou-no | 2011-08-22 15:52 |
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