先日、「役場庁舎より町民の命を守るが第一」と題された議員団広報紙が配布された。
議員個人の議会報告や議会全体の広報誌はたまに見かけることはあったが、議員団として発行するのは某政党のほかになかったように思う。それだけ大きな問題として捉えているのだろう。
発行者に名前を連ねている議員6人は、日ごろから問題意識を持っていると一定の評価をしてきた議員たちだったから、思わず身を乗り出してしまった。
6月議会で、役場庁舎を建設するために「建設検討委員会」を立ち上げる予算を町長が提案したことに対し、役場庁舎より先に地震・津波防災対策を優先すべきである、との考えから、「役場庁舎建設検討委員会」を「地震・津波防災検討委員会」として設置すべきとの修正を求めたが、町長提案の条例設置に賛成11人、反対6人で役場庁舎建設計画がスタートした、というもの。
庁舎建設工程表によると、合併特例債の付く期限内の平成27年度中に完成、となっている。
6議員の意見は、町の使命の第一は町民の生命を守ること。防災対策の見直しと避難路の整備を先に。高台への移転は学校や福祉施設を優先して。などが主なところ。
要は限られた財源の中で施策の優先順位をどうするか、だ。全体の要旨には賛同する。
地震と津波の被災地を視察した町長が、役場庁舎の高台移転を真っ先に思いつくなんて、お上意識丸出しの単細胞思考は笑える。もしかしたら、このたびの大震災は庁舎建設のチャンスだと土建業者と話し合ったのかもしれない。
とっくに破綻したはずの「箱モノ行政」が本州最南端の田舎町ではまだ健在だ。
驚くのは「検討委員会」メンバー15人(女性3人)の顔ぶれである。年齢は発表されていないが60代、70代、平均すると60代後半になるだろう。いったい10年後、何人が生きていることやら(この人たちの半分くらいは会えば挨拶を交わす程度に知るので他意はない。失礼は容赦されたい)。
予定通り5年後に新庁舎ができたとして、70歳を超えている彼らは頻繁に利用できるだろうか? 利用しない人に検討させてどうするつもりだ。もっとも最初から追認のための委員会、という役割しか想定されていないのを受ける方もどうかと思うけどね。少しは若い人に譲りなさいよ。
利用する人、つまり庁舎建設費の借金を払うことになる人をメンバーにするのが筋やろうが。